フキの種類・特徴・収穫方法まとめ!日本の伝統野菜をもっと知ろう
日本の春の訪れとともに顔を出すフキ。この伝統的な野菜は、その特有の風味で多くの料理に用いられ、長年にわたり私たちの食卓を彩ってきました。ですが、フキの種類や特徴、そして正しい収穫方法について知っている方は意外と少ないのではないでしょうか?
この記事では、フキの様々な種類とその特徴、そして収穫方法について解説します。
フキとは?
フキ(蕗・ふき)は、日本全国の山野に自生する宿根草で、数少ない日本原産の山菜の一つです。北は北海道から南は沖縄まで、広範囲に分布しています。フキはキク科フキ属に属し、大きな柔らかい葉が特徴で、毎年同じ場所で収穫を楽しむことができます。地下茎で増え、数年に一回の株分けを行うことで、管理が可能です。
フキの特徴
フキの葉は明るいグリーンで、表面には産毛のような毛が生えています。冬には地上部が消失または減少し、春になると株元からフキノトウ(フキの花)が出てきます。私たちが通常食べる部分は、実際には茎ではなく葉柄(ようへい)、つまり、茎につながる柄の部分です。食用とされる部分は主に葉柄であり、地下茎は有毒であるため摂取すべきではありません。
フキの基本情報
和名 | フキ(蕗) |
別名 | 「ヤマブキ」「アオブキ」「アカブキ」「ミズブキ」「ノブキ」「オオバ」 |
学名 | Petasites japonicus |
英名 | Japanese butterbur |
科名 | キク科 (Asteraceae) |
属名 | フキ属 (Petasites) |
原産地 | 日本、東アジア |
分布 | 日本全国をはじめ、中国、朝鮮半島にも分布 |
形態 | 宿根草 |
旬 | 4月~6月頃 |
フキの品種について
市場に出回る野菜としてのフキは、多くが野生種から選抜された栽培品種で、栽培品と野生種の両方が流通しています。自生するものは「山ブキ」と呼ばれ、灰汁が強い特徴がありますが、栽培種は通常、苦みが少なく調理がしやすいです。市場に出回る栽培種の多くは「愛知早生」(愛知早生ふき)という品種で、生産量日本一の愛知県東海市が主要な生産地です。「水ふき」(水ぶき)は、京都府や奈良県で主に栽培され、「タニフタギ」とも呼ばれるものは、福井県大野市や石川県加賀市南部で見られます。また、秋田フキも農家によって栽培され、市場に出荷されるものがあります。
フキ – Wikipedia
家庭菜園やスーパーなどで販売されている品種について
愛知早生ぶき(愛知早生ふき)
「尾張ぶき」とも別名で呼ばれているこの野菜は、市場の大半を占めています。特徴としては、葉柄が太く、根元が赤いことが挙げられます。香りが良く、長さは約1メートルになることがあります。
水ぶき(水ふき)
これは、小ぶりで、暖かい地方のフキから改良された栽培品種です。柔らかさと苦味の少なさが特徴で、収穫量は少ないですが、関西地方で限定的に生産されています。
アキタブキ(秋田蕗)
これはフキの亜種で、特に大型であり、葉柄の長さが2メートル、葉の直径が1.5メートルにも達します。肉質が固いため、主に佃煮や砂糖漬けといった加工食品に利用されます。その葉と葉柄は大きいため、にわか雨の際には傘代わりにもなり得ます。うっそうと秋田蕗が茂る場所には、「コロボックル」と呼ばれる小人が住んでいたというアイヌの伝説が存在します。
フキの花「ふきのとう(蕗の薹)」の情報はこちら
フキの収穫について
フキの栄養素
フキは、100グラムあたりわずか11キロカロリーと、とても低カロリーな食材です。フキの葉やふきのとう(花茎)には、β-カロテンやビタミンB1、ビタミンB2、カルシウム、カリウム、亜鉛などが含まれています。これらの栄養素は体の各種機能をサポートし、健康を維持するのに役立ちます。また、食物繊維も豊富に含まれているため、腸の働きを活発にし、便通の改善にも寄与します。そのため、健康を意識している方や、ダイエット中の方にもおすすめの食材です。
フキの収穫時期
フキの旬は4月から6月にかけてです。この時期には、特に山ふきと呼ばれる天然のフキが出回ります。山ふきは全国の山に自生し、その茎は細くて短いのが特徴です。この山ふきは、うどやわらびと並んで、農産物の直売所などでよく見かけることができます。フキの収穫はこの時期が適しており、春の味覚として多くの人々に楽しまれています。
フキの収穫について
フキ(蕗)を採る際は、大きくなりすぎて筋が張ってしまう前、つまり若い茎を選ぶのが望ましいです。収穫する際は、根本から鎌などで切るか、折るようにして取りましょう。
収穫したフキは、保存方法に注意が必要です。そのままの状態で保存しておくと、3日程度しか持ちません。したがって、収穫後は速やかに塩漬けや水煮にして保存することが推奨されます。これにより、フキを新鮮な状態で長く楽しむことができます。
フキの下処理
フキは灰汁が非常に強いため、下処理が必要です。下記の手順の元、調理してみてください。
- ふきを切る まず初めに、フキを適切な大きさに切ります。葉と茎を分け、それぞれの部位を後の調理工程で使用する鍋やフライパンの口径に合わせて切ります。
- 塩をまぶす 次に、切ったフキをまな板の上に平らに置き、全体に均等に塩をまぶします。塩は、フキの持つ苦味を取り除くために必要です。
- ふき同士をこすり合わせる 塩をまぶしたフキを両手でしっかりと持ち、ふき同士がこすれるようにして転がします。この行程で、フキの表面に塩がよくなじみ、苦味成分が出てきます。
- 茹でる 茹で方のポイントは、茎と葉を別々に茹でること。たっぷりの湯を沸かした鍋またはフライパンに、塩をまぶしたままのフキの茎を入れます。茎が重ならないように注意しながら入れると良いでしょう。
- 茹で時間を確認 茹でる時間は、ふきの太さや、茹でた後すぐに調理するか、冷蔵・冷凍保存するかによって変わります。
- すぐに調理または冷蔵保存の場合: 細いふきは約3分、太いふきは約5分
- 冷凍保存の場合: 細いふきは1分、太いふきは3分
このような下処理によって、フキの苦味を適切に除去し、美味しく調理することができます。
フキを使った調理例
フキと言えば、煮物などで食べたことがある方が多いと思いますが、意外といろいろな調理方法がありますのでご紹介します。
フキの天ぷら
フキの柔らかさと独特の風味を活かした天ぷらは、春の定番料理です。苦みが和らぐとともに、サクッとした食感が楽しめます。下処理をしたフキを天ぷら衣で揚げ、塩や天つゆでいただきます。
フキと豚肉の炒め物
フキは、シャキシャキとした食感が特徴で、炒め物にも適しています。特に、豚肉との相性は抜群です。フキと豚肉を一緒に炒め、醤油ベースのタレで味付けをします。
フキの味噌汁
フキの味噌汁は、フキの優しい風味と味噌のコクがマッチした、日本の春の味です。ダシを取った後、下処理をしたフキを加えて煮ます。最後に味噌を溶かし入れ、仕上げに葱やわかめを加えると良いでしょう。
フキの酢漬け
フキを酢で漬けると、シャキシャキとした食感と爽やかな酸味で楽しめます。食欲を刺激するので、前菜やおつまみとしてもおすすめです。フキは下処理後、酢、砂糖、塩で味付けし、冷蔵庫で冷やしておきます。
フキのサラダ
若いフキの葉は、そのままサラダとしても楽しめます。下処理をしたフキを、お好みの野菜と一緒に混ぜ、ドレッシングをかけていただきます。
どの調理法でも、フキの独特の風味と食感が楽しめ、春の食卓を彩ります。
最後に
春の山菜で有名な植物のフキを紹介しました。自生で育つ山フキを収穫するのも良いですが、スーパーなどで販売されている品種を育ててみるのもオススメです。毎年、いろいろな調理法で美味しくいただきましょう。