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良い土作りをサポート!「ミミズ」の役割と上手な付き合い方を徹底解説

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良い土作りというのは、ただ単に土に肥料を与えることだけではなく、その土の中に生息する小さな生命たちとの共存が鍵となってきます。その中でも、畑や庭をほじくっていると必ずと言っていいほど出会う「ミミズ」。一見、地味な存在かもしれませんが、彼らの働きは園芸の成功に不可欠です。

なぜなら、ミミズがいる土は柔らかく、肥沃であると一般的に言われています。一方で、ミミズをただ増やすだけが良い土作りではないことも事実。その理由とは、ミミズの種類や食性に秘密があります。今回の記事では、ミミズとのより良い関係を築くためのポイントを解説していきます。

ミミズとは?

ミミズは、手や脚がなく、目・鼻・耳も持たない単純な生物であり、主に口、お尻、および内臓で構成されています。しかし、それらの簡素な体造りにも関わらず、感光細胞という器官を持ち、光を感じ取る能力があります。特に弱い光を好む一方で、強い光は苦手としています。体は数多くの節で構成されており、これによって伸縮しながら土中を移動する「蠕動運動」を行っています。食性は広範で、植物性の有機物を好みますが、昆虫のフンや死骸なども摂取します。繁殖に関しては「雌雄同体」であり、1匹のミミズがオスとメスの両方の器官を持っています。これにより、2匹がいれば双方が卵を産むことが可能です。

ミミズの生態

ミミズは、畑の表層に存在する枯れ葉、枯れ草、堆肥、昆虫の排せつ物などを摂取し、体内で分解して肥沃な土壌へと変えていきます。特にミミズの排泄物には、野菜に必要なカルシウム、カリウム、リン酸などの栄養素が豊富に含まれており、その他にも腐植酸やアミノ酸などが存在します。このようにミミズの体内は、文字通り「肥沃な土の製造工場」とも言えます。加えて、ミミズの活動により、土壌の微生物の数も増加し、土壌生態系を豊かにしています。しかし、ミミズが過剰に増えると、未分解の有機物が多くなり、野菜にとっての環境が悪化する可能性もあります。

ミミズの種類

日本には多様なミミズが生息しており、その中でも100種以上のミミズが存在するとされています。特に畑やその周辺で頻繁に目にするミミズは、フトミミズ科とツリミミズ科の2つに分けられます。それぞれの種類は、食性、習性、繁殖力などの点で独自の特徴を持っています。

フトミミズ

カイガラムシが植物に寄生すると、その被害は多岐にわたります。大きく分けて、直接的な被害と間接的な被害が存在します。

シマミミズ(ツリミミズ)

シマミミズは、体に特徴的なシマ模様を持ち、体長は5〜10センチほどとフトミミズよりも小さいのが特徴です。有機物が豊富に存在する湿った場所や生ゴミ、腐敗している有機物などを好んで食べます。また、シマミミズは地表近くでの生活を好み、巣穴を作る習性はありません。そのため、堆肥をかき混ぜられたとしても問題なく生活することができ、ミミズコンポストにはこのシマミミズが適しています。繁殖力も強く、寿命は2〜3年とフトミミズよりも長寿です。

野菜作りにおいてのミミズの役割とは?

ミミズは畑や家庭菜園での土壌の健康や生産性向上に欠かせない生き物となっています。まず、ミミズが移動する過程で土壌内に空間を作り出し、その結果、土壌の通気性や排水性が大きく改善されます。さらに、ミミズの活動は土壌への窒素供給にも貢献しています。なぜなら、ミミズは窒素を豊富に含んだ排泄物をもちながら移動するため、その経路には大量の窒素が供給されるからです。

また、ミミズのフンは植物の成長や健康にとって有益な栄養素、アミノ酸、酵素、カルシウム、マグネシウムなどが豊富に含まれています。これにより、フンを介して土壌がより栄養分に富んだものへと変化していくのです。

さらに、ミミズの活動は土壌の微生物の増加をも促しています。ミミズが有機物を分解する際、その過程で微生物が増殖し、これが土壌に再び放出されます。そして、ミミズのフンは多孔質で、微生物にとって理想的な生息地となっています。

最後に、ミミズは植物が栄養を吸収する過程にも一役買っています。特に「リン酸」の吸収は、植物にとって難しいものですが、ミミズはリン酸を食べて、その後吸収しやすい形に変換して排泄します。これにより、植物はリン酸を効率良く吸収することが可能となります。

「ミミズがたくさんいる=良い畑」ではない

畑にミミズが多数存在することは、初めは良い土作りの印象を受けるかもしれません。確かに、ミミズが一切存在しない畑は、土の健全さを疑問視する場面もあるでしょう。しかし、ある一定の段階を超えてミミズが過剰に増え続ける場合、それは畑の土に潜む問題を示唆しています。

ミミズの主な食物は未熟な有機物です。このため、土の中の有機物が適切に分解され、栄養が豊富に供給される状況では、ミミズの数は自然に減少するはずです。しかし、ミミズが多く存在し続ける場面では、未熟な有機物が適切に分解されず土壌に残存している可能性が高いのです。これは、土の健康を損なうカビや害虫の発生を引き起こすリスクがあることを意味します。

特にシマミミズのように、腐った食物や生ごみを好む種類が畑に多数存在する場合は、土壌の健全性に警戒が必要です。そのような状態では、土壌の再生や土作りからやり直すことを検討することが求められるでしょう。

結論として、ミミズは土作りの重要なパートナーでありますが、「多ければ多いほど良い」というわけではありません。適切なバランスと土の健康を常に考慮しながら、ミミズとの共存を追求することが、持続可能な良い土作りの鍵となります。

ミミズがいない畑の特徴

畑や家庭菜園にミミズが少ない、あるいはいない主要な原因は、農薬や化学肥料の過剰な使用です。ミミズは土を食べる生態であり、その過程で化学肥料や農薬を摂取してしまいます。これらの物質はミミズの体内に蓄積され、最終的にはミミズの命を奪ってしまうことがあります。適切なバランスでの堆肥や肥料の管理が必要となります。

ミミズを増やす方法

有機肥料を使用する

ミミズが増えるためには、土に有機肥料を与えることが効果的です。鶏糞や米ぬかなどの有機質を土壌に与えることで、ミミズが食物としてこれらの有機物に引き寄せられるようになります。化学肥料はミミズにとって毒であるため、避けるべきです。また、畑の多様性を高めるために、さまざまな種類の有機物を散布すると、微生物の種類が増えて、ミミズの生息環境が向上します。

頻繁に耕さない

ミミズが繁殖しやすい環境を提供するためには、土を頻繁に耕すのを避けることが重要です。フトミミズは巣穴を作りながら生息するため、耕作が頻繁に行われると、彼らの生息地が破壊される恐れがあります。さらに、耕すことでミミズが物理的に傷つけられ、死んでしまうことも考えられます。したがって、有機肥料を散布した後は、土をあまりいじらず、ミミズの繁殖を待つことが推奨されます。

最後に

家庭菜園をしていると、いろいろな生物を見かけますよね。そういった生物が野菜や畑において、良いのか悪いのかを知ることで正しい判断が出来ます。ミミズは見た目が不気味な面もありますが、今回紹介した通り土作りの味方です。発見したら優しく扱いましょう。

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ムギ
ムギ
兼業農業ビジネスマン
実家の畑を使って兼業農家を始めた30代の会社員です。
野菜の育て方や、週1の農作業についての投稿をしています。
野菜を作る楽しみを届けられるように頑張ります。
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