家庭菜園で白菜の栽培を成功させる!病気・害虫対策の完全ガイドやり方解説
白菜のシャキシャキとした食感や甘み、さらにその多用途性から、多くの方が家庭菜園での栽培を楽しんでいます。しかし、そんな白菜の栽培は、病気や害虫によるトラブルに悩まされることも少なくありません。そこで今回は、白菜の栽培をより楽しく、より成功させやすくするためのポイントや、病気・害虫対策についてのガイドを深堀りして解説していきます。
白菜(ハクサイ)の基礎情報
白菜(はくさい)について、こちらを参考にしてみてください。
※品種により若干数値が変わりますので、あくまでご参考程度に。
栽培の難易度 | ★3(中級。白菜は害虫がつきやすいので、注意が必要です) |
科名 | アブラナ科 |
原産地 | 中国 |
草丈 | 約30cm~45cm |
連作障害 | あり。(2~3年の期間は同じ土地での栽培は控えましょう) |
適した栽培環境 | 日当たりの良い、よく排水された土壌がある場所。 |
日当たり | 日当たりの良い場所が望ましい。 |
土壌酸度 | pH 6~7.5(やや酸性から中性) |
株間 | 約30cm~40cm |
畝幅 | 約40cm~50cm |
畝高 | 約10cm~20cm |
発芽適温 | 10°C~20°C |
生育適温 | 12°C~22°C |
種まき時期 | 春作の場合は春(2月 – 4月)、秋作の場合は夏(7月 – 9月)。 |
発芽日数 | 5日~10日 |
苗植え付け時期 | 種まきから約3週間~5週間後。 |
収穫時期 | 春作の場合は種まきから約80日~100日後、秋作の場合は種まきから約60日~90日後。 |
コンパニオンプランツに 向いている野菜 | ネギ、サヤエンドウ、ニンジンなど。白菜の近くにこれらの野菜を植えることで害虫の被害を減少させる効果が期待されます。 |
栽培のポイント
- 発芽適温:白菜の種が発芽する最適な温度は10℃~20℃です。この温度範囲内で保持することで、種をまいてから約5~10日後に健康な芽が出てきます。
- 生育適温:白菜は、寒さに強い植物であり、12℃~22℃が最も理想的な生育温度です。温度が高すぎると、葉が細くなったり、生育が遅れる可能性があるため、真夏の高温期は特に注意が必要です。また、乾燥した環境も好ましくないため、定期的な水やりを怠らないようにしましょう。
- 栽培期間:種をまいてから収穫まで、春作の場合は約80日~100日、秋作の場合は約60日~90日となります。寒さを好む白菜は、春や秋の栽培が最も適しており、それぞれの時期に美味しい収穫が期待できます。
栽培手順
1.土作り
白菜はアブラナ科の野菜で、繊細ながら広範囲に根を広げる特徴があります。そのため、土作りは非常に重要です。以下に白菜の栽培における土作りのポイントをまとめました。
土の性質
白菜は耕土が深く、排水性、通気性、保水性に優れた土壌を好みます。このような土を用意することで、白菜の健康な生育が期待できます。
土壌の酸度
土壌の酸度はpH6.0〜6.5が最適です。酸性に傾くと「根こぶ病」が発生しやすくなるため、注意が必要です。
土作りの材料
- 赤玉土:7部
- 培養土:2部
- バーミキュライト:1部
この比率で土を混ぜ、用土10Lに対して、野菜用の化成肥料を10g~20g加えて混ぜます。
前準備
種または苗の植え付けの約2〜3週間前には、土作りの準備を開始します。具体的には、苦土石灰を散布して土壌の酸度を調整した後、深く土を耕し、必要に応じて堆肥や化成肥料を追加します。
連作の避け方
白菜は連作を嫌う性質があるため、白菜やアブラナ科の野菜を2年以上育てていない場所を選ぶことが推奨されます。
肥料
白菜は肥料切れを起こすと結球が困難になるため、元肥を十分に施すことが重要です。
マルチング
植え付けの際には、黒マルチを使用すると良いでしょう。これにより土の温度を安定させ、白菜の生育を助けます。
プランターでの栽培
プランターでの栽培の場合、市販の野菜用培養土を使用すると簡単です。しかし、自作の場合、赤玉土(小粒)6:腐葉土3:バーミキュライト1の比率で用土を作成し、必要な肥料や石灰を追加して調整します。
2.種まきや育苗
白菜は年に2回、2月と8月に種まきが可能です。下記は白菜の種まきから育苗までの手順です。
1. 種まきの基本情報
- 種まき時期:夏(8月~9月)。春まきも可能ですが、高温に弱いのでミニ品種や早生種を選んでください。
- 発芽適温:20~25℃
- 発芽日数:種をまいてから2~3日で発芽します。気温の影響で前後する場合があります。
2. ポットに種をまく方法
- 3号の育苗ポットを用意し、土をふちまで入れる。
- 指でくぼみを3箇所作る。
- くぼみに1粒ずつ種をまく。
- 5mm程度の覆土をして、軽く手で押さえる。
- 発芽するまで土の表面が乾かないように水やりを管理する。
- 本葉が2枚になったら、生育の遅いものを間引きして2本立ちにする。
3.プランターに直まきする方法
- 深さ20cm、幅60cmのプランターを用意する。
- プランターの縁から3~4cm下まで用土を入れる。
- 株間20cmを目安に、直径5cm、深さ1cmの穴を作る。
- 穴に5~6粒の種をまく。
- 軽く覆土して水やりをする。
- 子葉が開いたら、本葉の枚数に応じて間引きする。
4.地植え栽培方法
- 土づくりをした畑に、幅60cm、高さ15cmの畝を作る。
- 株間40~50cmを目安に、植え穴を掘る。
- 育苗ポットから苗を取り出し、根鉢を崩さないように植える。
- たっぷりと水やりをする。
直まきはポットまきより収穫までの期間が短いですが、発芽が揃いにくいため、ポットまきの方がおすすめです。
白菜は害虫に弱いので、特に幼苗期には注意が必要です。
3.管理(追肥・土寄せ・水やり・摘み取り)
追肥(肥料)
- 白菜の外葉の成長を促進するためには、定期的な追肥が不可欠です。
- 植えつけから2週間後、新しい根が伸びる時期に窒素肥料を施し、その2週間後に化成肥料を与えます。その後、2、3週間毎に追肥を続けます。
- プランター栽培の場合、白菜が結球した後にも化成肥料(約3g)を与えることが推奨されます。
- 肥料を与える際には、肥料が直接葉に触れないよう注意し、肥料焼けを防ぐために株元に与えるように心がけます。
土寄せ
- 追肥の際に中耕と土寄せを同時に行います。中耕は土の酸素供給を促し、根の伸びを良くする役割があります。
- 土寄せは、白菜の株を固定し、倒れるのを防ぐ効果があります。
- 但し、白菜が結球を開始した後は、細い根を傷つけないように土寄せや中耕を避けることが推奨されます。
水やり
- 植えつけ直後は白菜が根付くまで、たっぷりの水を与え、土が乾きすぎないようにします。
- 白菜の根がしっかりと土に定着した後は、適度に水を減らし、過度な湿度を避けます。
- 特に冬の生育が鈍る時期には、根腐れを防ぐために水やりの回数を減らします。
外葉の摘み取り
- 外葉は白菜の成長にとって非常に重要です。光合成を行い、結球部分の生長をサポートします。
- 外葉が不十分に成長すると、結球部分も十分に大きくなりません。
- 傷んでいる葉や病気、害虫によって損傷を受けた葉は、早めに摘み取り、病気や害虫の拡散を防ぎます。
4.収穫
収穫のタイミング
白菜の収穫適期は品種や栽培環境によって異なります。一般的な白菜の場合、種を蒔いてから約60~100日が収穫の目安となります。特に、苗から植え付けた場合は、約40~80日で収穫の適期を迎えます。さらに、ミニ種の場合は、種蒔きからおよそ40日後が収穫時期となります。
最もわかりやすい収穫のサインは、結球した頭の部分を手で押さえることです。もし株の先端部分がしっかりと固く締まっていれば、それは収穫の適切なタイミングを示しています。
収穫方法
白菜の収穫方法は簡単です。まず、結球部を斜めに傾けて株の根元付近をナイフや包丁で切り取ります。この時、外葉も一緒にざっくりと切り取ってしまっても問題ありません。外の固い葉は後から容易に処分することができますので、きれいに球だけを収穫する必要はありません。
保存方法
収穫した白菜は常温に置くとすぐに傷んでしまいます。しかし、新聞紙などで包み、温度変化の少ない冷暗所で保管することで、鮮度を長持ちさせることが可能です。また、白菜は防寒対策を施しておけば、畑で保存することもできます。日常の食事で使用する量だけ収穫し、残りはそのまま畑に置いておくと、後から収穫しても新鮮な状態を保つことができます。
白菜の収穫は、適切なタイミングと方法で行うことで、最高の食味を楽しむことができます。また、適切な保存方法を取ることで、長期間新鮮な状態を維持することも可能です。特に初霜が降る前の収穫がおすすめですので、気温や天気予報もしっかりとチェックして、最適な収穫を目指しましょう。
白菜の種はどこで買えるの?
白菜の種を手に入れたい場合、まずは近くの園芸店やホームセンターを訪れると良いでしょう。これらの店舗では、多くの野菜の種が取り扱われており、白菜の種も一般的に置いてあります。また、地域の農協、通称JA(日本農業協同組合)でも、農家向けの種が購入できることがあります。品種のバリエーションが豊富に取り揃えられていることが特徴です。オンラインショッピングを利用することも考えられます。Amazonや楽天などの大手ショッピングサイトでは、さまざまな品種や産地の白菜の種が取り扱われています。加えて、専門的な種苗店なども存在し、特定の品種や有機栽培用の種など、特色のある品揃えを提供している場合があります。どこで購入するにしても、品種や耐病性、栽培の適期などをしっかり確認し、自分の栽培環境や目的に合わせて選ぶことが大切です。
白菜栽培で注意すべき病気
白菜は多くの病気に対して脆弱であり、適切な管理と予防策が不可欠です。以下、白菜栽培時に注意すべき主要な病気とその対策について紹介します。
菌核病
- 症状:外葉の地面に接する部分から褐色に軟化腐敗し、白いカビが発生。このカビは次第に黒い塊(菌核)に変わる。
- 対策:「軟腐病」との区別が必要。軟腐病には独特の悪臭がある。
軟腐病
- 症状:組織が水浸状になり、軟化して独特の悪臭を放つ。
- 対策:スターナ水和剤の散布。罹病株の処分後、次回の作付けで予防的な防除を実施。
根こぶ病
- 症状:茎葉がしおれ、根に大小のこぶが形成される。
- 対策:土壌pHを7.2以上に調整。石灰窒素の施用が有効。
白斑病
- 症状:葉に灰白色の病斑が発生。
- 対策:早期発見と除去が鍵。
べと病
- 特徴: 葉に淡黄色から黄褐色の病斑が現れ、カビが生じる。
- 防除方法: 密植や過湿を避け、土壌からの感染対策として敷きワラやビニールマルチの利用。
モザイク病、えそモザイク病
- 症状:葉脈が透ける、葉の縁にモザイク状の濃淡が現れる。成長が遅れたり結球不良が発生することも。
- 対策:アブラムシの発生を防ぐ。育苗時に寒冷紗やシルバーマルチを使用。周辺の除草と早期のアブラムシ防除が必要。
白さび病
- 症状:葉裏や茎に乳白色の小斑点が発生し、粉状の胞子が飛散。
- 対策:発病前の殺菌剤散布。発病後は病葉や株の除去。
病気の発生を未然に防ぐためには、定期的な観察と早期の対応が必要です。特に湿度や水分管理は白菜の病気発生に大きく関わるため、注意が必要です。
白菜栽培で注意すべき害虫
白菜はおいしい野菜として知られていますが、多くの害虫が白菜を好むため、栽培には注意が必要です。以下は、白菜の主要な害虫とその特徴、対策を簡単に紹介します。
アブラムシ
- 特徴: 小さな虫が集団で生息。
- 食害: 吸汁し、モザイク病のウイルスを媒介。
- 対策: 播種時からの綿密な防除策。
アオムシ(モンシロチョウ)
- 特徴: 緑色の細かい毛が生えた小さなイモムシ。
- 食害: 葉を食べる。
- 対策: 育苗中からの葉の裏や付け根をこまめにチェックして葉ごと除去。
カブラハバチ
- 特徴: 黒藍色のイモムシ状の幼虫。
- 食害: 葉を食害。
- 対策: 早期発見し葉ごと除去。
ヨトウムシ(夜盗虫)
- 特徴: イモムシ状の幼虫。
- 食害: 葉を食害。
- 対策: ヨトウガやシロイチモジヨトウ、ハスモンヨトウを特にチェック。
ナメクジ
- 特徴: 新芽や若葉を舐めるように食害。
- 食害: 大きく育った株は食害しないが、結球した葉と葉の間に潜む。
- 対策: 葉と葉の間のチェックと早期の除去。
ダイコンハムシ(ダイコンサルハムシ)
- 特徴: 黒色の幼虫や丸い形の成虫。
- 食害: 葉を食害。
- 対策: 育苗中からのこまめなチェック。
ハイマダラノメイガ(芯食い虫)
- 特徴: イモムシ状の幼虫。体長2cm、淡褐色で5本の縦筋、頭部が黒い。
- 食害: 芯葉に潜り、食害。葉同士を綴り合わせて食べる。
- 対策: 早めの発見と葉の除去。
キスジノミハムシ
- 特徴: 成虫は体長3mm程度の甲虫。
- 食害: 成虫は葉、幼虫は根を食害。
- 対策: 土壌の健康管理と早期の除去。
コナガ
- 特徴: 体長10mmほどの淡緑色の幼虫。
- 食害: 葉を食害。
- 対策: アオムシとの見分けをつけ、早期に除去。
白菜栽培の際にはこれらの害虫をしっかりと管理し、健康な白菜を収穫するための工夫が求められます。特に、害虫のつきにくい土壌の作成や、早期の発見と対策が鍵となります。大量発生した場合は、適切な農薬の使用も検討しましょう。