2023.06.09 2023.08.10

アブラムシ対策完全ガイド：生態から駆除方法、予防法まで、家庭菜園の害虫対策

keisukeduo

野菜作りの天敵である害虫で一番メジャーだと言える「アブラムシ」。今回は、こちらの害虫についてしっかりご紹介します。

アブラムシとは
アブラムシの発生時期
アブラムシの駆除について
アブラムシの予防について
最後に

アブラムシとは

アブラムシは非常に多くの種類が存在する昆虫で、世界中に約4000種類が存在します。それらの中には農作物や庭園に被害を与える害虫も含まれています。

アブラムシとは、カメムシ目のアブラムシ上科に分類される昆虫の一般名です。彼らは植物上でほとんど動かず、大勢で生活します。

アブラムシの種類

ナツアブラムシ: ナツアブラムシは日本全国で見られる種で、農作物に被害を与えることがあります。その名前の通り、夏季に活動します。
イネアブラムシ: このアブラムシは稲に対する大きな被害をもたらします。特に稲作地域では重要な害虫とされています。
メヒシバアブラムシ: この種は特に果物や野菜の栽培に大きな影響を与えます。
リンゴコブアブラムシ：リンゴの木だけ限定して養分を吸い取る種のアブラムシ。

これらは一部の種類であり、アブラムシは非常に多種多様な生態を持ち、様々な植物に対応することができます。また、それぞれの種は特定の植物に依存することが多く、そのために特定のアブラムシが特定の植物に被害を与えることがあります。

アブラムシの被害について

アブラムシによる野菜への被害には直接的なものと間接的なものの2種類があります。

直接的な被害

彼らが生きていくためには植物から養分を取る必要があり、そのためには植物の維管束（水や栄養素を輸送する役割を持つ、根から茎、葉に至る通路）に口針を突き刺します。そうすることで、植物が光合成によって作った栄養素を吸収し、生活していきます。この行動から野菜を含む植物に悪影響を与える害虫として扱われます。

間接的な被害

アブラムシによる被害の中でも最も深刻なものは、ウイルスの伝播やすす病の発生を引き起こす間接的な被害です。すでにウイルスに感染している植物にアブラムシが寄生し、その後で健康な植物に移動することで、アブラムシを介してウイルスが広がります。

さらに、アブラムシは自分を保護するために甘い排泄物を出します。これがアリや他の昆虫を引き寄せますが、その一方ですす病を引き起こす菌も誘引してしまいます。

ウイルスに感染した部分やすす病になった部分が見つかった場合は、すぐにその部分を取り除くことが重要です。放置してしまうと被害が広がる可能性があります。感染した部位は焼却処分することで、ウイルスや菌を完全に駆除することが可能です。

名前の由来

アブラムシの名前の由来は、江戸時代の子供たちの遊びからきています。その遊びでは、子供たちはハギの植物に寄生しているアブラムシを手で潰し、その後でその内容物を自分の髪に塗って光らせるというものでした。この遊びから、アブラムシという名前がついたとされています。

アブラムシの発生時期

アブラムシは年間を通して植物に寄生する害虫で、特に3月から10月の間に頻繁に見られます。しかし、真夏の高温には弱く、4月から6月や9月から10月のような比較的気候が穏やかな時期に繁殖活動が活発になります。

降雨が少なく暑い年（高温少雨）や、日陰が多く風通しの悪い環境ではアブラムシが増えやすいので注意が必要です。

春と秋には羽を持つオスが現れ、その後で繁殖が行われます。そしてオスが生まれます。一方、メスだけで繁殖が行われると、新たにメスが生まれます。

寒冷地ではアブラムシは冬を卵の状態で過ごしますが、暖かい地域では一年中幼虫が産まれ続け、増え続けます。そのため、暖地では季節に関わらずアブラムシ対策を行う必要があります。

アブラムシの駆除について

アブラムシを駆除するには、いくつかの方法がありますので一つずつ紹介します。

牛乳を散布

この方法は、牛乳をアブラムシにスプレーするだけの簡単な方法です。
牛乳は、人間やペット、植物に無害であるため、化学的な害虫駆除剤のような環境への負荷がありません。また、家庭に常備されている牛乳を用いるため、手間やコストをかけずに行うことが可能です。アブラムシを駆除する効果は、牛乳の脂肪分がアブラムシの呼吸孔を塞ぎ、窒息させること、そして牛乳の酵素がアブラムシの外骨格を破壊することに由来します。さらに、牛乳は有益な昆虫や微生物には無害なので、生態系を保護しながら害虫のみを対処することができます。ただし、濃度が高すぎると植物にダメージを与えたり、使用後に水で洗い流さないと黒カビの発生を促す可能性があるため注意が必要です。

油石鹸水の散布

サラダ油と食器用洗剤と水を混ぜて散布します。配分は下記の通りです。

サラダ油　ペットボトルキャップ2杯分
食器用洗剤　ペットボトルキャップ1杯分
水　2リットル

こちらをしっかりと混ぜ、泡が引いたらスプレー容器に入れて、アブラムシのいる葉っぱの表裏や茎に散布しましょう。

この方法も、牛乳と同じく人間やペット、環境に対して無害で、化学的な害虫駆除剤とは違い、環境への影響を最小限に抑えることができます。また、家庭で手軽に作れるため、特別な道具や材料を購入する必要がありません。油石鹸水の効果は、牛乳と同じくアブラムシの外骨格を破壊して窒息させることで効率的に駆除することができます。さらに、有益な昆虫や他の生物への影響が少ないため、生態系を保護することができます。ただし、敏感な植物では葉焼けを引き起こす可能性があるため、使用する石鹸は無香料で余計な成分が含まれていないもの(ヤシノミ洗剤)を選ぶのをおすすめします。