トウモロコシ栽培マスターガイド:育て方から病気・害虫対策まで全てを解説
こんにちは、ムギです。今日は、トウモロコシの栽培について、育て方から病気や害虫対策まで詳しく解説します。初心者の方でも安心して読める内容になっています。
トウモロコシの基礎情報
トウモロコシについて、こちらを参考にしてみてください。
※品種により若干数値が変わりますので、あくまでご参考程度に。
栽培の難易度 | |
科名 | イネ科 |
原産地 | メキシコ |
草丈 | 品種によるが、一般的には2〜3メートル |
適した栽培環境 | 日照が十分にある場所。暖かい気候を好みます。 |
日当たり | 直射日光を好みます。 |
土壌酸度 | pH 6〜6.8(やや酸性から中性) |
株間 | 約30~40cm |
畝幅 | 約75~90cm |
畝高 | 約15~20cm |
発芽適温 | 10~15℃ |
生育適温 | 20~30℃ |
種まき時期 | 霜がなくなった春に、土壌温度が10℃以上になったとき。 |
発芽日数 | 約7~14日 |
苗植え付け時期 | 種蒔きから約2~4週間後 |
収穫時期 | 品種によりますが、一般的には植え付けから60 – 100日後 |
コンパニオンプランツに 向いている野菜 | 豆、かぼちゃ、キュウリなど。これらは「三姉妹」と呼ばれる伝統的な植物組み合わせで、互いに生育を助けます。 |
栽培のポイント
- 発芽適温:トウモロコシの種が芽を出す最適な温度は10℃~15℃です。この温度帯を保つことで種まきから約1週間~2週間で元気な芽が出てきます。
- 生育適温:トウモロコシは暖かい気温を好む植物で、特に20℃~30℃が理想的な生育温度です。低温になると成長が遅くなるので注意しましょう。また、高温でも生育可能ですが、乾燥には弱いので適度な水分供給が必要です。
- 栽培期間:種を蒔いてから収穫まで約2~3ヶ月です。霜のない春から初夏にかけて種を蒔くと良い成長を見せます。
栽培手順
1.畑の準備
トウモロコシの植え付け前には、堆肥・石灰・元肥を混ぜて土作りをしておきます。トウモロコシは光を好むため、日陰を避け、朝日と夕日が十分に当たるように、畝は南北に作ります。
トウモロコシは根が深く張り、肥料を好む特性があります。また、吸肥力が強く、大きくがっしりした株に育てるためには、十分な肥料が必要です。したがって、しっかりと肥料を施し、深くまで耕すことが重要です。
肥料には、「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」のようなバランスの良い配合肥料が推奨されます。
2.種まき
畑の前に、まずはポッドで育てましょう。3号(9cmサイズ)のポットに、3粒の種をまきます。それぞれの種を指で1cmの深さまで土の中に押し込み、その上からたっぷりと水をやります。種をまく際は、発芽しやすいように、尖った方を下に向けて植えてください。
発芽した株は間引かずに3本とも育て、トウモロコシの特性である風媒花を助けるため、複数本を育てることで受粉が助けられます。最終的に草丈15cm程度の苗に仕上げる際、3本とも育てる場合は株間が十分にあることを確認し、互いに栄養を奪い合わないように注意してください。
3.植え付け
ポットで育てたトウモロコシを、3〜4週間後、草丈が15cm程度になったら畑に定植します。
根を傷つけないように注意しながらポットを外し、1本ずつに分けます。その後、株間を30cmに保ち、2列植えにします。定植後にはたっぷりと水を与えます。
追肥・管理
追肥と土寄せは2回に分けて行います。トウモロコシは肥切れさせずに、十分に肥料を供給することが大切です。また、地上部の節から枝根が発生し、土寄せを行うことで生育が向上し、倒伏防止にも役立ちます。
1回目の追肥のタイミングは、草丈が40〜50cm、本葉が5〜6枚の頃です。これは雌穂が分化する直前で、穂の大きさと粒の数が決まる時期です。株元に追肥を施し、しっかりと土寄せをします。
2回目の追肥のタイミングは、株の先端に雄穂が見えた頃です。この時期は草勢をピークに持っていくための重要な時期であり、受粉に備えて必要です。株元に再度追肥を施し、しっかりと土寄せを行います。
トウモロコシは自然に受粉しますが、家庭菜園で株数が少ない場合は人工授粉が有効です。また、1株につき1つの雌穂を残して摘果し、わき芽はそのまま残します。
人工授粉については、トウモロコシの雌穂が他の株の雄穂から飛散した花粉により受粉する特性を利用します。受粉が不十分な場合、粒が不揃いになったり、部分的に歯抜けになる可能性があります。
受粉が終わったら雄穂を切り落とし、害虫「アワノメイガ」の発生を防ぎます。
摘果については、1株に2〜3本の雌穂が出ますが、良質な実を収穫するためには、最も生育の優れた雌穂を1つだけ残し、他の雌穂は取り除きます。取り除いた雌穂はヤングコーンとして利用できます。
株元からはわき芽が出てきますが、これを残しておくと、光合成が活発になり、穂の太りがよくなります。また、根張りもよくなり、倒伏しにくくなる効果があります。
水やりについては、穂の成長と根の張り具合を考慮に入れて適切な水分を提供します。
4.収穫
トウモロコシの雌穂のヒゲは、1本1本が実の1粒1粒に接続しており、熟すと茶色に変色します。
開花から20〜25日後、ヒゲが茶色に縮れてきたら収穫の適期となります。具体的な目安としては、実を手で押した時に中身の手応えを感じること、または、外皮を少し剥いて上部の実の膨らみを確認することが挙げられます。
収穫方法としては、実の付け根を切るか、下方向に倒しながらねじって折り取ります。
また、トウモロコシは寒い夜を経ると糖度が上昇するため、早朝の収穫が最も甘さを引き立てます。
なお、収穫期を過ぎると実が硬くなり、収穫後の数時間で甘みが落ちてしまうため、すぐに食べない時は茹でてから冷凍保存することを推奨します。
ヒゲが茶色く縮れているにも関わらずタワラ(実)がふっくらとしていないものは、適切な受粉が行われなかったことを示しています。これらは生育を続けても肥大化しないため、収穫してしまうのが良いでしょう。
育てやすい品種
家庭菜園において、特に好まれる代表的なトウモロコシの品種は次の3つです。
おひさまコーン7
この品種はその粒皮の柔らかさが特徴で、その柔らかさは生でも美味しく召し上がることができる程です。また、草勢が非常に強く、栽培が容易なため、家庭菜園での栽培に最適とされております。
ハニーバンタム
ハニーバンタムはその甘さで大変な人気を集めている品種です。実が黄金色に輝き、その大きさと強い甘みが特徴です。特に、収穫後もその甘味が数日間続く点が好評です。
ピーターコーン
ピーターコーンは黄色と白の粒が3対1の割合で混ざった、鮮やかなバイカラーの品種です。この品種は大きな穂をつけ、皮の柔らかさと甘みの強さが特長で、その美味しさから好評を博しております。
トウモロコシ栽培で注意すべき病気
トウモロコシ栽培では、こちらの病気に注意することが重要です。
苗立枯病(なえたちがれびょう)
この病気は、特に発芽後から苗立ち期に多く見られ、糸状菌というカビ菌類の一種が引き起こします。この菌は土壌に存在し、湿度が高く気温が低い環境を好みます。
症状と原因:発芽後の苗が黄色く枯れたり、茎の根元が腐り折れてしまったりします。病勢が進行すると、土から離れて倒れた苗が見られます。
土壌の湿度が高いことと、肥料の過剰な施用が主な原因です。特に水はけが悪い土壌や冷たい土壌では、病害の発生が多くなります。
予防法:土壌の水はけを良くすること、湿度管理を行うこと、適切な肥料施用をすることが重要です。
モザイク病
葉に濃淡のモザイク模様が現れ、感染が深刻化すると葉は縮れて形状異常を示します。
この病気はウイルスによって引き起こされ、そのウイルスは主にアブラムシによって媒介されます。
これらの病気に注意しながら、トウモロコシを健康に育てるための適切な管理を行ってください。
トウモロコシ栽培で注意すべき害虫
トウモロコシに被害を与える主要な害虫の一つに、「アワノメイガ」(蛾の幼虫)がいます。成虫は葉の付け根などに卵を産み付け、孵化した幼虫は雄花から侵入し、茎を通じて実にまで侵入して食害を引き起こします。 アワノメイガは雄花に集まりやすいため、人工授粉後に雄花を取り除くと被害を抑制できます。さらに、3月に早めの播種を行うことでも、害虫による被害は少なくなるでしょう。
また、鳥や野生動物からの被害にも注意が必要です。 地域によっては、カラス、ハクビシン、サルなどからの被害が報告されています。人工授粉が完了したら、防虫網などを使用してトウモロコシ全体を覆い、これらの動物からの食害を防ぎましょう。
最後に
以上、トウモロコシの育て方と病気・害虫対策について解説しました。これが皆さんの栽培の参考になれば幸いです。