野菜の育て方

家庭菜園での小松菜栽培:害虫・病気対策の完全解説ガイド

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小松菜(コマツナ)は、日本の関東地方を中心に長い間愛されてきた野菜です。名前の由来は、東京都江戸川区の小松川地区からきており、なんと徳川将軍に命名されたという由緒ある野菜です。江戸時代からの歴史を持つこの野菜は、今でもスーパーや青果店で一年中手に入るほど、日本の食卓に欠かせない存在です。

特徴として、カルシウムや鉄分をはじめとする豊富な栄養価を持ち、野菜の中でも特に栄養が高い部類に入ります。また、甘みがあり、食感も柔らかく、炒め物やお浸し、スープなど、さまざまな料理で使用されるため、多くの家庭で常備されています。

家庭菜園に興味がある方や、自家製の新鮮な小松菜を食べたいという方にとって、小松菜の栽培は絶好の選択肢となるでしょう。基本的な知識を身につければ、それほど難しくなく、手間も少なく、短期間での収穫が楽しめます。ぜひ、挑戦してみてくださいね。

小松菜の基礎情報

小松菜について、こちらを参考にしてみてください。
※品種により若干数値が変わりますので、あくまでご参考程度に。

栽培の難易度★2(初心者向け。ただし気温の変動に注意)
科名アブラナ科
原産地中国
草丈約25cm~40cm
連作障害あり。(2~3年の期間は同じ土地での栽培は避ける)
適した栽培環境日当たりの良い、湿度の高くない場所。
日当たり日当たりの良い場所が望ましい。
土壌酸度pH 5.5〜6.5(弱酸性から中性)
株間約20cm
畝幅約30cm
畝高約10cm
発芽適温15°C~20°C
生育適温15°C~25°C
種まき時期春まき(3月~5月)、秋まき(9月~11月)。
発芽日数5日~10日
苗植え付け時期種まきから約3週間後。
収穫時期種まきから約40日~60日後。
コンパニオンプランツに
向いている野菜
にんにくやタマネギ。これらの植物は病気や害虫を予防する効果があるため、小松菜との共存が有効。

栽培のポイント

  • 発芽適温:小松菜の種が発芽する最適な温度は15℃~20℃です。この温度範囲内で種をまくと、約5~10日で健康な芽が出てきます。
  • 生育適温:小松菜はやや涼しい気温を好む野菜で、15℃~25℃が最も理想的な生育温度となります。高温になると葉が硬くなることがあるため、真夏の高温期は注意が必要です。また、適切な水やりをすることで、健やかな生育をサポートすることができます。
  • 栽培期間:種を蒔いてから収穫までの期間は、春の場合は約40日~50日、秋の場合は約40日~60日となります。涼しい気温を好む小松菜は、春や秋の栽培が特におすすめで、それぞれの時期に収穫のピークを迎えることが期待されます。

栽培手順

1.土作り

小松菜は、土作りの段階から肥料を好む野菜として知られています。そのため、土を整える際には肥料の準備が欠かせません。また、土壌酸度(pH)においては、5.5〜6.5の範囲が適切で、中でもph6.0~ph6.5の弱酸性を特に好みます。さらに、水はけと水もちがバランス良く取れた土壌が、小松菜栽培にとって最も理想的です。

1. 2週間前の準備

1㎡あたり100g~150gの苦土石灰を散布し、土によく混ぜ込むことで土壌の酸度を調整。

2. 1週間前の準備

1㎡に対して1kgの堆肥と、100g~150gの化成肥料をまいて、土壌に混ぜ込む。

3. 植え付け直前

準備した土地に畝を作る。畝のサイズは幅75㎝、高さ10㎝~15㎝、条間15㎝~20㎝にするのが理想的。

成功する野菜作りの基盤:土づくりの全てを解説

2.種まき

小松菜の種は畑に直接播くことが一般的です。畝を幅75cm、高さ10cm〜15cmで作成し、条間は15cm〜20cmで設定します。特に2列に種を播く場合、条間は15cm程度とし、まき溝は深さ1cmに均一にすることが大切です。この深さの統一は、発芽の時期のバラつきを防ぐための重要なポイントとなります。

種を播く際の手順は、まず、条間15cmでまき溝を作成します。次に、1cmの間隔で種を条播きし、その後、覆土をして軽く手で押さえ固めます。最終段階として、種が流れないように気をつけながらたっぷりと水やりを行います。

また、小松菜は害虫被害に遭いやすいため、種まき直後には防虫ネットを使用するなどの対策が推奨されています。秋の種まき時には、寒冷紗被覆やビニールトンネルを設置して保護することが効果的です。一方、プランター栽培を行う場合、発芽までの期間中は土が過度に乾燥しないよう、湿らせた新聞紙を上にかける方法がおすすめです。

ポイント

家庭菜園の場合、一度に多量の種を播くと消費が追いつかなくなる可能性があるため、1週間〜10日の間隔を置いて少量ずつの「ずらしまき」が推奨されています。

3.管理(間引き・追肥・水やり)

小松菜を栽培する際、その成長と健康を支える重要な管理ポイントがいくつかあります。

間引き

まず間引きに関して、発芽後、本葉が2枚~3枚になった時期が1回目の間引きの適期です。この際、2cm~3cm間隔になるように苗を間引きします。特に、弱っている苗や葉に傷がある苗を優先的に取り除くことがポイントとなります。もし、根が絡まって抜くのが難しい場合は、ハサミで根元を切る方法を取ります。さらに成長して、本葉が3枚~4枚、草丈が7cm~8cmの時が2回目の間引きのタイミングです。この時には、5cm~6cm間隔で間引きを行います。この間引いた苗は、ベビーリーフとして料理に生かすことができ、特に味噌汁やサラダに適しています。

追肥(肥料)

次に、追肥の手順ですが、これは2回目の間引きと同じタイミングで実施します。地植えの場合、1㎡当たりに30gの化成肥料(N-P-K=8-8-8)を散布し、その後、土を軽く混ぜながら小松菜の株元に土を寄せることが求められます。一方、プランターでの栽培の場合は、1株につき3~5gの化成肥料を周囲にまき、土を軽く混ぜて株元に土を寄せます。この際、肥料が直接株に当たらないように注意することが重要です。また、小松菜の葉が健康的な緑色を保っている場合は、追肥を行う必要はありません。

水やり

最後に、水やりの方法ですが、地植えの小松菜は、乾燥が続いている場合にのみ適切に水を与えることが推奨されます。一方、プランターでの栽培では、土の表面が乾燥しているときに、鉢底から水が出るまでしっかりと水を与えることが必要です。特に梅雨明け後の高温期は乾燥しやすく、朝と夕の2回の水やりが必要となります。ただし、真昼時の高温下での水やりは避け、涼しい時間帯を選ぶことが大切です。冬季には、土が乾きにくくなるので、土の湿り具合を確認しながら必要に応じて水を与えます。

4.収穫

小松菜(コマツナ)の収穫は、その草丈が20cm~25cmになった時が最適です。この時期に収穫すると、食感が柔らかく、風味も増して、小松菜の本来の味わいを最も楽しむことができます。一方、草丈が30cmを超えると、葉が固くなり、アクが出る傾向があるため、できるだけ早めの収穫が推奨されます。

収穫方法としては、小松菜の株元をしっかりと手で掴み、株ごと引き抜く方法と、根元をハサミやナイフで切る方法の2つがあります。春に種をまいた小松菜は、トウ立ちを起こしやすいので、株ごと引き抜いて収穫することがおすすめです。しかし、秋や晩秋に種をまいた場合は、生長がゆっくりと進むため、外葉のみを摘むことで長期間にわたり収穫を続けることが可能です。

また、小松菜は、春に花を咲かせることもあり、この花を「菜花」として食べることもできます。収穫の際は、花が咲く直前の柔らかい部分を選んでください。

種まきから収穫までの期間は、春や秋に種をまいた場合は45~60日、夏に種をまいた場合は25~30日、そして冬に種をまいた場合は60~100日となります。

最後に、収穫する際は、地際の茎部分を一気に抜き取ることで、鮮度を保つことができます。特に、食べる直前まで根を切らないようにすると、新鮮さが持続します。

小松菜の種はどこで買えるの?

小松菜の種を手に入れたい場合、まずは近くの園芸店やホームセンターを訪れると良いでしょう。これらの店舗では、多くの野菜の種が取り扱われており、小松菜の種も一般的に置いてあります。また、地域の農協、通称JA(日本農業協同組合)でも、農家向けの種が購入できることがあります。品種のバリエーションが豊富に取り揃えられていることが特徴です。オンラインショッピングを利用することも考えられます。Amazonや楽天などの大手ショッピングサイトでは、さまざまな品種や産地の小松菜の種が取り扱われています。加えて、専門的な種苗店なども存在し、特定の品種や有機栽培用の種など、特色のある品揃えを提供している場合があります。どこで購入するにしても、品種や耐病性、栽培の適期などをしっかり確認し、自分の栽培環境や目的に合わせて選ぶことが大切です。

小松菜栽培で注意すべき病気

小松菜には、さまざまな病気のリスクがあります。下記の病気に注意をしましょう。

べと病

  • 特徴: 葉に淡黄色から黄褐色の病斑が現れ、カビが生じる。
  • 防除方法: 密植や過湿を避け、土壌からの感染対策として敷きワラやビニールマルチの利用。

モザイク病

  • 特徴: アブラムシが媒介し、葉にモザイク状の模様が現れる。葉が萎縮してしまうことも。
  • 防除方法: アブラムシの飛来を防ぐためのマルチやトンネルを使用。感染した葉は除去し、消毒すること。

萎凋病

  • 特徴: 葉が萎れて枯死。根が白いカビで覆われる。
  • 防除方法: 土を他の場所に持ち込まず、太陽熱消毒や消毒済みの種子の使用。

炭疽病

  • 特徴: 葉に褐色から灰白色の大きな病斑が現れる。
  • 防除方法: 風通しを保ち、薬剤の散布。

斑点病

特徴: 葉に灰白色から黄褐色の小さな斑点が多数発生。対策: 厚まきを避け、適切な施肥管理。感染株の早期除去や、雨による土のはね上げ対策。

立枯病

  • 特徴: 葉柄や茎の腐敗や葉の萎死。
  • 防除方法: 土壌の水はけを保つ、連作を避ける。

小松菜の栽培には、これらの病気に十分な注意と対策が必要です。適切な管理と早期の対応で、健康な小松菜を収穫することができます。

小松菜栽培で注意すべき害虫

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アブラムシ

アブラムシは1mm~2mmの小さな虫で、年間を通して発生します。葉からの汁を吸うため、虫食いの穴は見られませんが、葉が萎縮してしまいます。特にモザイク病を媒介する能力があるため、防除は必須です。

防除方法:防虫ネットを使用して飛来を防ぐことが有効です。発生してしまった場合は、テープや歯ブラシでの捕殺や、葉を処分する方法がありますが、大量発生時には薬剤の散布を検討しましょう。

アザミウマ

アザミウマは1mm程度の虫で、特に夏に多く発生します。葉の汁を吸うことで、葉に白い斑点が出現したり、病害の媒介も行います。

防除方法:防虫ネットの使用や、アザミウマが発生しやすい他の野菜との距離をとることで予防します。発生した場合は薬剤の散布やマルチの利用が効果的です。また、栽培終了後の蒸し込み処理で拡散を防ぐことが重要です。

ヨトウムシ(夜盗虫)

ヨトウムシは昼間は土中に隠れる夜行性の害虫です。様々な野菜に発生するため、近隣の畑でも発生している場合は特に警戒が必要です。

対処方法:畑をよく耕し、早期段階での駆除が効果的です。ベタがけやトンネルでの苗の保護や、葉の裏側のチェックも必要です。

ABOUT ME
ムギ
ムギ
兼業農業ビジネスマン
実家の畑を使って兼業農家を始めた30代の会社員です。
野菜の育て方や、週1の農作業についての投稿をしています。
野菜を作る楽しみを届けられるように頑張ります。
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