土作り

油かす肥料の秘密:その効果、成分、そして使用上のポイントを徹底解説

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油かす肥料、あなたはその魅力と可能性を十分に活用していますか?市場に出回る有機肥料の中で、油かす肥料はコストパフォーマンスに優れ、多くの栄養成分を持つため、家庭菜園をはじめとする多くの農場で利用されています。この記事で、油かす肥料の効果や成分、そして使用上のポイントについて紹介します。

油かす(油粕)とは?

油かすは、菜種や大豆を圧搾して油を取り出した後に残るかすで、長い歴史を持つ有機肥料として認識されています。日本では、中世末期から肥料として利用され始め、江戸時代の中期に広まったと言われています。特に家庭菜園やガーデニングの分野で多用されており、元肥や追肥としての役割を果たしています。また、油かすには発酵しているものとしていないものがあり、未発酵のものは特有のきつい臭いがするため、臭いを避けたい場合は発酵済みのものがおすすめです。

油かすの成分・効果

油かすの中心となる成分は窒素で、窒素分5~7%、リン酸1~2%、カリ1%のバランスで成り立っています。具体的に、ナタネ油かすは窒素を主成分とし、リン酸やカリウムも含んでいますが、土壌での分解速度が遅く、その結果として長く効果を持続する遅効性の肥料となっています。一方、ダイズ油かすは窒素が主成分でありながら、リン酸やカリウムの含有量は少なめです。このため、土中での分解が速く、早く効果を発揮する即効性の肥料として振る舞います。

油かすの種類

菜種油かす(ナタネ油かす)

菜種の種子を炒って圧搾した後の残りカス。黄褐色や黒褐色を持ち、三大栄養素の比率は窒素5:リン酸2:カリ1。ペレット化されたバージョンもあり、特に鉢植えや盆栽に適しています。

大豆油かす(ダイズ油かす)

黄大豆を原料として搾油した残りカス。この油かすは、比較的無機化が早く、肥効が迅速に現れる特徴があります。三大栄養素の比率は窒素7:リン酸1:カリ1。

ニーム核油かす

ニームの実から取ったオイルのカス。害虫忌避効果が期待できる。肥料だけでなく、害虫の防除効果も持つ。

椿油かす

椿油の絞りカスで、窒素成分施肥を主目的として使用される。サポニンの界面活性効果により、土壌改良効果があるとされている。

カポック油かす

ジャワやフィリピンのカポック植物の種子から油を搾り取った後のカス。肥料としての成分比は特に目立った特徴はない。

アマニ油かす

アマの種子を圧搾した後のカス。肥料としての特徴や成分比に大きな違いはない。

ゴマ油かす

黄ゴマや白ゴマの種子を炒ってから圧搾し、油を取り除いたカス。肥料としての成分比は、他の油かすと大きく変わることはない。

油かすの使い方

1.油かすの使い方:追肥

一般的な使用例

長ネギ、ブロッコリー、キャベツ、ハクサイなどの土寄せ前に、土の表面に散布し、その上に土を寄せると良い。生育を良くしたり、結球率を上げる効果があります。

菜園・花壇での使い方

植物の間に3~5cm程度の溝を掘り、1㎡当り50~150gを施して使用。

庭木・花木・果樹での使い方

枝先の下に10cm程度の穴を掘って1株当り200~300gを施し、土を軽くかけて使用。

プランターでの使い方

植物の根元から少し離れた場所に、深さ3~5cmの穴を数個掘って、プランターサイズ60cmの容器に対して30g程度を施して使用。

2.油かすの使い方:元肥

一般的な使用例

未発酵の油かすは発酵に数週間時間を要し、土にすきこむことで微生物が活性化する。また、酸化するため土壌が酸性に傾きやすく、酸性が好きな植物を育てる際におすすめ。種まきや定植の3週間以上前に土に混ぜる。1㎡あたり、堆肥2kgと油かす200gをよくすきこみ、2〜3週間後に作付けをする。

菜園・花壇での使い方

直接植物の根に触れないように、1㎡当り300~400gを土と混ぜて使用。

庭木・花木・果樹での使い方

直接植物の根に触れないように1株当り300~500gを施し、土を軽くかけて使用。

プランターでの使い方

プランターサイズ60cmの容器に対して、油かすを50gと土を混ぜて使用。

3.油かすの使い方:液肥

一般的な使用例

油かすと水を1:10の割合でペットボトルなどの容器に入れてよく混ぜます。容器内でガスが発生するため、1週間に1度は蓋を開けてガスを出しましょう。日陰で風通しの良い場所で、約1か月放置することで、ガスが発生しなくなるため、液肥として使うことが出来ます。
油粕が発酵したら、上澄み液を取って薄めて施します。

菜園・花壇での使い方

希釈約5~20倍で施す。

庭木・花木・果樹での使い方

希釈約4~5倍で施す。

プランターでの使い方

希釈約10倍で施す。

4.油かすの使い方:ぼかし肥料

一般的な使用例

野菜クズや雑草などの有機物に、油カスや米ぬかをまぜて発酵させた肥料。

用意するもの

油かす2kg、魚かす1kg、骨粉1kg、鶏ふん1kg、米ぬか500g、畑の土5kg、蓋つきバケツ、ビニール袋。

ぼかし肥料の作り方

肥料材料をビニール袋に入れ、水を加え混ぜ、バケツに層を作りながら交互に入れ、蓋をして2~4週間発酵させる。

5.油かすの使い方:玉肥

一般的な使用例

油かすと水を混ぜ、固形タイプの肥料として使用。臭いが少なく、緩効性の肥料として利用。

玉肥の作り方

タッパーに油かすを入れ、水を加えて発酵させる。発酵後、団子状にして使用。

油かすの使用上の注意点

油かすを使用する際、いくつかの注意事項を理解しておくことは非常に重要です。

1. 土作りのタイミング

油かすが発酵中には熱やガスを発生させるので、植え付け前の土作りを早めに行うことが必要です。具体的には、油かす施用後は2~3週間待ってから種を蒔くか、植え付けを行うと、発芽障害や根痛み、ガス障害を避けることができます。

2. 油かすの施肥量

油かすの施肥量の管理は、適切な施肥量を守ることが重要です。過度に油かすを使用すると、アンモニアガスや亜硝酸ガスの発生など、ガス害のリスクが高まることがあります。

3. 追肥時の取り扱い

油かすを直接植物の根に近づけず、根から離して使用することをおすすめします。特に発酵油かすを使う場合、植物へのダメージ、特に肥料焼けを防ぐために注意が必要です。

4. 害虫・害獣・カビの発生

未発酵の油かすを土表に放置すると、コバエやハエの発生を引き起こす可能性があるため、土の中に埋め込む形で使用することが良いでしょう。さらに、発酵済みの油かすであっても、カビの発生には十分な注意が必要です。

5. 植物の肥料焼け

油かすの過度な使用は植物の肥料焼けを引き起こすリスクがあります。特に、発酵していない油かすは植え付けの2週間前くらいに土と混ぜ込むことで、安全に利用することができます。

6. チッ素過多

最後に、チッ素過多の問題点です。チッ素は植物の葉の成長を促進しますが、過剰に与えると花や果実の成長が阻害されることが知られています。既に庭の土がチッ素過多の状態である場合、油かすとの併用は注意が必要です。

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ムギ
ムギ
兼業農業ビジネスマン
実家の畑を使って兼業農家を始めた30代の会社員です。
野菜の育て方や、週1の農作業についての投稿をしています。
野菜を作る楽しみを届けられるように頑張ります。
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