どの果物が甘くなるのか?追熟する・しない果物のリストと、追熟のメカニズムをご紹介
ある日、保管していた果物が予想以上に甘く、驚いた経験はありませんか?実はその背後には「追熟」というプロセスが隠れていることが多いのです。追熟とは、果物を収穫後に一定期間置いて熟成させ、より美味しくする方法です。だけど、驚くことに、すべての果物が追熟できるわけではありません。この記事を通して、どの果物が追熟に適しているのか、追熟しない果物はどれか、そしてその背後の科学的なメカニズムを詳しくご紹介します。
追熟とは?
追熟は、果物が収穫された後に一定の期間放置され、甘さが増し果肉が柔らかくなるプロセスを指します。この現象は、果物の中に蓄積されたデンプンがグルコースやフルクトースとして分解され、果肉がやわらかくなることによって起こります。さらに、このプロセスで芳香成分が放出され、果物がより香り高くなります。
果物が追熟する理由
果物は、自然の中で哺乳類や鳥類によって種子が散布される役割を持っています。一部の果物は、糖分を蓄積してこの種子散布の動物に魅力的となりますが、全ての果物がすぐに甘くなるわけではありません。このような果物は、収穫後に特定の条件下でさらなる熟成(追熟)が必要です。これらの特定の果物を「クリマクテリック型果実」と呼びます。例として、メロン、キウイフルーツ、セイヨウナシ、バナナがあり、脂肪蓄積を行う植物の中ではアボカドも同様の後熟現象を持っています。
この追熟プロセスは、果物が一度にすべて成熟するのを避けるための自然の戦略として存在します。なぜなら、果物が一度に成熟すると、その全てを動物や鳥に食べられる可能性が低くなるからです。追熟を利用することで、果物は微妙に成熟時期をずらし、長期間にわたって種子を散布する動物や鳥に食べられる機会を増やすのです。
追熟を利用した収穫や出荷
商業的には、追熟の特性を持つ果物は、収穫や出荷のタイミングの制御が難しい反面、保存性が高くなります。このため、農業では果物を収穫し、長距離輸送に適した状態で保存し、消費地での最終段階で成熟させることが一般的です。
クリマクテリック(追熟)型果実とは?
クリマクテリック型果実(クリマクテリックがたかじつ、climacteric fruits)は、果実が成熟する際に呼吸量が著しく増大する特性を持つ果物のことを指します。この呼吸量の増大現象を「クリマクテリック・ライズ」と言います。この型の果実は「クライマクテリック型果実」とも表記されます。
クリマクテリック果実 – Wikipedia
成熟の過程で、植物ホルモンの一種であるエチレンの濃度が通常の1,000倍以上に急激に増加します。この増加は、貯蔵中に減少した糖分を補うために有機酸を呼吸基質として使用することに関連しており、この時の呼吸商が1を超えるのが特徴的です。
クリマクテリック型果実のこの性質のため、収穫後にも追熟を行うことが可能です。
追熟する果物・野菜
追熟する果物一覧
- リンゴ
- 西洋梨
- キウイフルーツ
- モモ
- アボカド
- パパイヤ
- バナナ
- アンズ
- メロン
- マンゴー
- 温州みかん
- アボカド
- 梅など
追熟する野菜一覧
- トマト
- カボチャ
- サツマイモ
- ゴーヤ
追熟の仕方
追熟とは、果物を収穫後、一定期間放置することでその味や食感をより良くする方法です。基本的には、常温の場所で果物を放置するだけで追熟は進行しますが、いくつかのポイントを押さえることで、追熟の効果を最大限に引き出すことができます。
- 適切な保存場所の選定
- 保存する場所は15~19度が理想的です。また、乾燥や湿度が過度に高い場所は避けましょう。
- 夏は涼しく、風通しのよい場所が最適。冬は暖房が効いた部屋の隅や隣の部屋がおすすめです。
- エチレンを利用した追熟の早め方
- エチレンは多くの植物で成熟のサインとして分泌されるホルモンです。
- りんごや熟したバナナはエチレンを多く放出するため、追熟させたい果物と一緒にビニール袋に入れることで追熟を促進することができます。特に、エチレンの発生量が多い「つがる」や「ジョナゴールド」のりんごを使用すると効果的です。
- 注意点
- 完熟前の果物を冷蔵庫に入れると追熟が進まないことがあるため、気を付けましょう。食べる数日前に常温に戻すことで、適切に追熟させることができます。
これらの方法をうまく活用して、おいしい果物を楽しんでください!
最後に
果物は、一度に収穫しても売ったり食べたりと消化が追い付かなくなることがあります。そんなときに、熟し切る前に収穫して長期保管出来る果物は助かりますね。私の実家の畑では、柿とキウイを栽培しているので、追熟を上手く活用して美味しい果実を満喫したいと思います。