植物の病気

根こぶ病の原因と対策:効果的な防除方法を紹介

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アブラナ科の野菜を栽培する多くの方にとって、根こぶ病は避けられない課題となっています。根こぶ病は、植物の根がこぶ状に膨れる特徴的な病気で、その原因や発症のメカニズムを理解することが効果的な防除の鍵です。この記事では、アブラナ科野菜に発生しやすい根こぶ病の原因と症状、そしてその対策方法について詳しく解説します。

根こぶ病(ねこぶびょう)とは?

根こぶ病はアブラナ科の植物、例えばキャベツやダイコン、小松菜などに影響を及ぼす病気で、その原因はネコブカビという特有のアメーバ状の病原菌です。この菌は胞子を形成し、新しい根や根毛に侵入して増殖します。そして、これがこぶの原因となり、収穫時にはこれらのこぶは腐敗してしまいます。特に地温が20~24℃の酸性の土壌での発病が多く観察されます。この病菌は、雨などの水流を介して環境中に拡散し、土中で数年、時には10年以上も生き続けることができるため、一度感染すると取り扱いが非常に難しくなります。

根こぶ病の症状

感染した植物は根がこぶ状に膨れ、地上部の葉や茎が萎れ始めます。特に、根のこぶが成長しすぎると、全体が肥大し、植物全体の健康に悪影響を及ぼします。葉は元気を失い、晴天の日中でもしおれた状態になります。さらに、根のこぶは根の組織を破壊し、維管束を圧迫するため、水分や養分の運搬がうまくいかなくなります。結果として、植物の生長は大幅に衰え、最悪の場合は植物が枯死してしまいます。

根こぶ病に感染する主な植物

根こぶ病はアブラナ科の植物に特異的に発生する土壌病害であり、ダイコンを除くアブラナ科の野菜全般に影響を及ぼします。この病害に感染しやすい主な植物には、キャベツ、ブロッコリー、ハクサイ、カブ、コマツナ、カリフラワーなどが挙げられます。感染すると、これらの植物の根部には多数の「こぶ」が発生し、これらのこぶは初めは白色の滑らかな表面を持っていますが、時間とともに色が褐変し、場合によっては細菌による二次感染を受けて腐敗することもあります。さ

根こぶ病の感染原因

根こぶ病は原生生物が原因となる病気で、特定のアブラナ科植物にのみ感染します。この病気は主に土壌伝染性病害であり、病原菌は土壌に生息しており、休眠胞子という形で存在します。気温や水分などの条件が整うと、これらの休眠胞子が発芽し、遊走子を形成して植物の根毛に侵入します。こうして感染した根は「こぶ」を形成し、その中で新たな休眠胞子が作られ、腐敗とともに再び土壌中に放出されるサイクルが続きます。

発生しやすい条件として以下の点が挙げられます:

  1. 気温:気温が18〜25℃の範囲にあるときに発生しやすい。特に5月ごろから始まり、真夏には発生が減少します。
  2. 土壌のpH:酸性の土壌では発生しやすく、一方でpH6.5以上の中性からアルカリ性の土壌では発生が抑制されます。
  3. 水分:土壌に多くの水分が存在すると休眠胞子の発芽や遊走子の根への侵入が助長されるため、発生が増加します。特に排水が悪い場所や多雨の時期は注意が必要です。
  4. 日照時間:日長が長い条件では発生が増える傾向があり、1カ月の平均日長が11.5時間を超える場合や16時間近く日照があるときに多発します。

また、この病原菌は糸状菌の一種で、土を移動しながら植物の根から侵入します。侵入後、根内で胞子を形成し、やがて根が腐敗して胞子が土壌中に放出される。病原菌は非常に長い期間土壌中で生存可能であり、農作業や降雨などを通じて病気が広がるリスクがあるため、管理が重要となります。

根こぶ病の防除方法

根こぶ病は土壌伝搬性の病気で、アブラナ科の野菜に主に影響を及ぼします。以下に、根こぶ病の発生を抑制または防止するための方法を列挙します。

  1. 前作の残渣の処理:収穫後の植物残渣に病菌が付着している可能性があるため、これを圃場外で処理する。
  2. 土壌の入れ替え、消毒:病気の発生が疑われる圃場では土壌の消毒を行うか新しい土を使用する。特に、太陽熱消毒は1年で最も暑い時期に、透明のポリマルチを使用して土壌を湛水状態に保ち、約20〜30日放置する方法がある。
  3. 土壌酸度の矯正:根こぶ病菌はpH4.5〜6.5の酸性で活発。土壌をpH6.5以上の中性〜弱アルカリ性に調整する。具体的には、石灰肥料を施用する方法や、消石灰を根が伸びる部分に施す方法が有効。
  4. 連作を避ける:アブラナ科の連作を避け、輪作を実施する。
  5. 水はけの良い圃場づくり:土壌の湿度を適切に保ち、畝を高くしたり土壌改良材を使用して土の水はけを良くする。
  6. 耐病性の品種の利用:根こぶ病に強い品種の植物を選ぶ。
  7. おとり植物の使用:エンバクや耐性のある葉ダイコンなどを植えて、土壌中の菌密度を下げる。
  8. 防除に効果的な農薬:発生予防のために農薬を使用する。
  9. 土壌のミネラル成分の保全:土壌診断を行い、適切な土作りを心がける。
  10. 緑肥作物の利用:ソルゴーやイタリアンライグラスなどの緑肥作物を輪作し、根こぶ病菌密度を下げる。
  11. 周囲の除草:圃場の周りの雑草を除草し、病害虫の発生や繁殖を防ぐ。

以上の方法を組み合わせることで、根こぶ病の発生を大きく減少させることが可能です。

根こぶ病とネコブセンチュウの見分け方

根こぶ病とネコブセンチュウは、植物の根に「こぶ」を形成する症状が似ており、そのため区別が難しくなることがあります。しかし、これらは異なる原因によるものであり、具体的な見分け方が存在します。

  1. 原因の違い
    • 根こぶ病は病原菌によって引き起こされる病気です。
    • ネコブセンチュウは線虫、特に棒状ないし糸状の生き物によって引き起こされる被害です。
  2. 感染する植物の違い
    • 根こぶ病はアブラナ科の植物のみに発生します。そのため、アブラナ科以外の野菜、例えばトマトやキュウリ、サツマイモなどにこぶの症状が現れた場合、それはネコブセンチュウによるものと判断できます。
    • ホウセンカはネコブセンチュウに感染しやすく、根にこぶが多く形成される場合、ネコブセンチュウの影響とみなすことができます。
  3. こぶの特徴の違い
    • ネコブセンチュウによる被害では、根の表面に同じような小さなこぶが形成されます。
    • 一方、根こぶ病による被害では、大小さまざまなこぶが形成され、その表面は比較的滑らかであるという特徴があります。

これらの特徴を基に、根こぶ病とネコブセンチュウの区別を行うことが可能です。

    最後に

    根こぶ病は、家庭菜園を長年行っていると遭遇することが多い病気です。予防と防除を駆使して対応していきましょう。

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    ムギ
    ムギ
    兼業農業ビジネスマン
    実家の畑を使って兼業農家を始めた30代の会社員です。
    野菜の育て方や、週1の農作業についての投稿をしています。
    野菜を作る楽しみを届けられるように頑張ります。
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