害虫

家庭菜園で遭遇する害虫ネキリムシ: 特徴、防除・予防対策の詳細解説

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野菜や花々が順調に成長していると思ったら、突然その喜びが奪われる瞬間がありますよね。朝庭を見ると、新芽や葉がばっさりと切り落とされていたり、これまで元気に育っていた植物が枯れ始めている場合、その犯人の多くは地中に隠れる「ネキリムシ」です。
特に新しく植え付けた苗にとって、ネキリムシは大敵です。この害虫は主に夜に活動を開始し、柔らかな茎や葉を食べてしまいます。一度出現した場合、かなり厄介な存在となるため、しっかりとした防除・予防が必須です。この記事では、ネキリムシの生態やその防除・予防方法について詳しく解説します。

ネキリムシとは?

ネキリムシは、よく「根切り虫」と呼ばれがちですが、実は根を食害するわけではありません。この名前は、地下茎や根元に近い茎部分が食害されることから来ています。

ネキリムシの特徴

ネキリムシに含まれる昆虫の種類

一般に呼ばれている「ネキリムシ」は、ヤガ科のカブラヤガやタマナヤガなど、いくつかの種類のガの幼虫の総称です。センモンヤガやオオカブラヤガも、頻度は低いですが、このカテゴリに含まれます。

食性と出没場所

ネキリムシは雑食性で、野菜でも雑草でも何でも食べます。特に耕作放棄地などでよく見られ、雑草が主食です。雑草がなくなると新植えの苗を食害するようになります。

ネキリムシの生態、活動時間や特徴

卵から幼虫への成長過程

ネキリムシの卵は作物や雑草の地際部の古葉や枯葉に1〜2個ずつ産卵されます。卵は4~5日でふ化し、幼虫になります。幼虫期間は約1ヶ月で、ふ化したばかりの幼虫は主に作物の地際部を食害しますが、その量は少なく被害は限定的です。

幼虫は成長するにつれて体色が暗緑色から暗灰色に変わり、体長も40mm程度になります。老熟幼虫になると夜間に土に潜り、作物の株元を食び切ります。その後、土中で蛹化し、約2週間で成虫になります。

成虫の開帳は37~45mm、前翅長は18mm程で、全体が淡灰褐色をしています。雌は雄よりも大きく、暗色が特徴です。成虫は夜に活動し、1,000個ほどの卵を産み付けます。

発生と活動時期

多くの作物が生育途中である5~10月に多発します。ネキリムシの生育サイクルは約50日で、年に2~4回発生します。特に暖かい地方では、早春から活動を始めます。

ネキリムシは昼間は土中に隠れており、夜になると地表へ出て食害を始めます。そのため、昼間はなかなか見つけられず、退治が困難です。

夜行性であり、光を避ける傾向があります。また、刺激を受けると体を丸くして小石のように見える擬態をします。

ネキリムシによる家庭菜園の被害

ネキリムシは多種多様な植物に被害を及ぼします。特に気を付けるべき植物は下記の通りです。

注意すべき野菜

アブラナ科の野菜、例えばキャベツハクサイダイコンなどが好まれる傾向にあります。その他にも、トウモロコシ、大豆、ネギホウレンソウコマツナカブキュウリトマトナスなども被害を受けやすい。

注意すべき草花

野菜以外にも、ネキリムシは草花を攻撃します。具体的には、パンジー、チューリップ、ゼラニウム、ビオラ、ヒマワリなどが狙われます。

ネキリムシの防除方法

捕殺

ネキリムシは日中に食害した作物付近の土中に隠れています。被害箇所を見つけた際は、植物の根元の土を軽く掘ってみて、見つけたネキリムシを手でつまんで取り除きます。特に昼間は土中で暮らしているので、5cm程度の土を掘り返すと容易に見つけられます。

農薬の使用

深刻な食害が発生している場合や、大量の作物を栽培している方は農薬の散布が効果的です。選ぶ薬剤は地域の防除指導機関やJAが推奨するものにしましょう。使用基準を守り、作物に適した薬剤を選ぶことが重要です。主な効果的な薬剤としては、「デナポン5%ベイト」、「ネキリベイト」、「家庭園芸用サンケイダイアジノン粒剤3」があります。

駆除のタイミング

ネキリムシは夜行性であり、夜に活動することが多いです。夜に駆除を行う場合、植物の根元から確認していくと見つけやすいです。

ネキリムシの予防法

寒冷紗や防虫ネットの活用

特にアブラナ科の野菜(キャベツ、ダイコンなど)が好まれるネキリムシに対しては、寒冷紗や防虫ネットを作物の上にトンネル状に掛けると、成虫の飛来と卵の産み付けを防ぐことができます。

土壌処理

作付け前の土壌処理は非常に重要です。畑やその周辺で雑草が繁茂している場合、しっかりと除草を行いましょう。前年にネキリムシが多発した土地は特に注意が必要です。残渣を除去し、土中の蛹が越冬しないよう対策を施します。ハウス栽培で問題がある場合、透明マルチで土壌を覆って1カ月ほど太陽熱消毒する方法もあります。

本葉数による選定

ネキリムシは主に幼苗の胚軸や柔らかい部分を食害します。そのため、本葉が4枚以上あるような苗を植えると、食害のリスクが低くなります。

物理的な保護

「米ぬか」や「ボカシ肥」は、ネキリムシやヨトウムシの増加を引き起こす可能性があります。これらの肥料を使用する場合は、深さ30cm程の溝を掘って施す方法が無難です。

幼虫対策にオススメ

卵の殻や粉唐辛子を株元にまく、または地中に近い茎にストローを巻き付けることで食害を防ぎます。

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ムギ
ムギ
兼業農業ビジネスマン
実家の畑を使って兼業農家を始めた30代の会社員です。
野菜の育て方や、週1の農作業についての投稿をしています。
野菜を作る楽しみを届けられるように頑張ります。
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