そうか病の詳細解説: 症状、原因、対策、おすすめの使用薬剤(農薬)を徹底紹介
ジャガイモやミカンなど、私たちの食卓に上がる農作物を脅かす「そうか病」。この記事では、その症状や原因、さらには発症しやすい時期や環境を優しく解説します。作物が感染した場合、食べても大丈夫なのかも一緒に見ていきましょう。そして、そうか病から大切な作物を守るためのアドバイスや、心強いおすすめの薬剤(農薬)も紹介します。一緒に、健やかな農作物の育成を目指しましょう。
そうか病(そうかびょう)とは?
そうか病は根や塊茎、葉、果実の表面に立体的な病斑を形成する病気で、ジャガイモやダイコンなどの根菜類、ミカン等の柑橘類に影響を与えます。主な原因は土壌に潜む子嚢菌や細菌、特に放線菌や糸状菌です。アルカリ性の土壌はこれらの菌の活性化を助け、化成肥料の長期使用により土壌がアルカリ性に変質することが、その発生を増加させています。
そうか病の発生時期
病気は主に5月から11月にかけて発生します。
そうか病にかかってしまう原因
そうか病の主な原因は、子嚢菌や細菌が植物の傷口から侵入することです。植物に傷をつける可能性がある行為を避けることで、感染リスクを低減できます。具体的な対策としては、植物の葉を食害する虫を定期的に駆除することや、植物を剪定する際は天気の良い乾燥した日に行うことで、傷口が早く乾燥する環境を作ることが挙げられます。
「ジャガイモそうか病」と「カンキツそうか病」
そうか病は主に「じゃがいも」と「柑橘類」に発生しやすい病気として知られています。ただし、これらの植物における発病の原因となる菌は異なります。
ジャガイモそうか病
じゃがいもに影響を及ぼすのは「放線菌」です。この菌はアルカリ性の土壌で特に活性化するため、じゃがいもを植え付ける際には、土壌のpHバランスを確認し、アルカリ性に傾いていないか注意が必要です。
ジャガイモそうか病が発生する条件
ジャガイモにおけるそうか病の発生を促進する環境や土壌条件を以下に述べます。
- 気象条件
- 高温・乾燥
イモの形成期から肥大初期、具体的には6月中旬から7月中旬にかけて、地温が高く、雨の降りが少ない乾燥した年には、ジャガイモそうか病の発生が多くなる傾向が確認されています。
- 高温・乾燥
- 土壌の性質
- アルカリ性土壌
土壌のpHが6.5以上の場合、ジャガイモそうか病が発生しやすくなります。特に、石灰質の資材を過剰に使用することで土壌がアルカリ性に傾くと、病気のリスクが高まるので注意が必要です。
- アルカリ性土壌
- 栽培の方法
- 連作
同一の場所でジャガイモや他の根菜類を繰り返し栽培する連作は、そうか病の発生を助長させる要因となります。
- 連作
これらの条件を理解しておくことで、ジャガイモを健康に育てるための適切な対策や予防が行えます。
ジャガイモそうか病に有効な防除方法
ジャガイモそうか病の予防や発症を軽減するための有効な防除方法を以下に示します。
- 無病種イモの使用
- ジャガイモそうか病を持ち込むリスクを減少させるため、無病の種イモを使用するのが効果的です。
- 種イモの消毒も行い、さらに病気のリスクを下げます。
- 抵抗性品種の利用
- ジャガイモそうか病に対する抵抗性を持つ品種を植え付けることで、病気の発症を抑制することができます。
- 例えば、「ユキラシャ」や「スノーマーチ」などの品種があります。
- 連作の防止
- 土壌中の菌密度が増加し、病気の発症が増える可能性が高まるため、連作は避けるべきです。
- 5年以上ジャガイモの栽培を休止し、根菜類の植え付けも控える。
- 前作として、イネ科やマメ科の作物を栽培する、または緑肥を利用することで、連作による病気のリスクを低減できます。
- 保水性の良い圃場づくり
- 土壌の乾燥がジャガイモそうか病の発症を促進するため、塊茎の肥大期には適切な潅水を心掛けます。
- 腐植を土壌に混ぜることや、ポリマルチで土壌表面を覆うことで、水分の保持と蒸発の防止が可能となります。
- 土壌pHの調整
- 土壌のpHが6.5以上の状態ではジャガイモそうか病が多発するリスクがあるため、石灰質の肥料の過度な施用は避けるようにします。
これらの方法を適切に組み合わせることで、ジャガイモそうか病のリスクを大きく下げることが期待できます。
効果的な農薬
- フロンサイド粉剤:植え付け前の土壌混和で使用し、土壌消毒効果が期待できます。施用量は1a当たり3~4kgを全面土壌に混和して使用します。
カンキツそうか病
柑橘類のそうか病の主な原因は「糸状菌」です。この菌は湿度が高く、日照時間が短い梅雨時期に活性化しやすいです。特に4月中旬までに雨が多く、日照時間が短い低温が続く環境下では、梅雨に入る前から発症のリスクが高まります。
柑橘そうか病が発生する条件
柑橘そうか病は、特定の気象や環境条件下で発生しやすくなる病気です。以下に、その主な発生条件をまとめます。
- 前年の病斑からの感染
前年に発病した葉の病斑で越冬し、それが伝染源となります。 - 気象条件
- 低温・多雨
カンキツそうか病は、特に低温で雨が多い環境下で発生しやすくなります。具体的には感染温度が22〜24℃の範囲で、4〜5月に雨が多い条件が発病のリスクを高めます。 - 多湿
また、多湿の環境も病気の発生を促進します。特に、植物が密に植えられ、風通しが悪い場所では病気のリスクが高まるため注意が必要です。
- 低温・多雨
カンキツそうか病に有効な防除方法
カンキツそうか病を効果的に予防・防除するための方法を以下にまとめます。
- 無病苗の使用
- 新しく植える際には無病の苗木を選択します。
- 植え付けから10年程度はカンキツそうか病が発生しやすいため、この期間は防除を特に徹底する必要があります。
- 適量施肥
- 窒素を多く含む肥料を過度に施用するとカンキツそうか病の発病リスクが高まるため、適切な量の肥料を使用することが重要です。
- 通風性の良い圃場づくり
- 枝や葉が密集しすぎると風通しが悪くなるため、余分な枝や葉は定期的に落とします。
- 風がよく通る環境を保つことで、カンキツそうか病の発病リスクを低減することができます。
これらの管理方法を組み合わせることで、カンキツそうか病の予防と発症の抑制を行うことができます。
効果的な農薬
- ゲッター水和剤:この農薬はカンキツそうか病の予防効果と治療効果の両方が期待できます。さらに、主要な病害である灰色かび病に対しても効果があります。
- ストロビードライフロアブル:カンキツそうか病だけでなく、黒点病や灰色かび病の予防にも使用できます。
ゲッター水和剤:この農薬はカンキツそうか病の予防効果と治療効果の両方が期待できます。さらに、主要な病害である灰色かび病に対しても効果があります。
最後に
そうか病になると見た目が悪くなるため、作物を販売されている農家さんにとっては厄介な病気です。病気になった作物は食べようと思えば食べられます。しかし、味がよくないのであまりオススメはしません。皆さんも気を付けて栽培していきましょう。