家庭菜園での白さび病被害: 症状から予防法・防除法までの完全解説ガイド
今回は、白さび病の具体的な症状、その被害の程度、そしてその予防法や防除法について詳しく解説していきます。
白さび病とは?
白さび病は、糸状菌(カビ)によって引き起こされる植物の病気で、感染すると葉の裏面に白色の突起状の斑点が現れます。主な感染対象はアブラナ科作物であり、カブ、コマツナ、ミズナ、ダイコンなどが代表的です。この病気は、葉だけでなく、葉柄、茎、花にも拡大する可能性があります。
感染しやすい時期は、春と秋の雨が多い時期で、特に冬の気温が高くて雨が多い条件下での発生が多いことが知られています。
なお、アブラナ科野菜の白さび病とキクの白さび病は、同じ病名を持ちながら、実際には全く別の病気であり、また、さび病菌による「白さび病」とは異なることも重要な点として挙げられます。
早期発見と防除が必要であり、白さび病の症状と発見のポイントを理解し、適切な対策を行うことが求められます。
白さび病の種類
白さび病はアブラナ科作物で多く発生しますが、すべてのアブラナ科作物に感染するわけではありません。3つの主要な系統の菌が特定のアブラナ科作物を対象として感染します。以下は、その3つの白さび病の系統を説明します。
- カブ、ハクサイ、コマツナ、タイサイ、キョウナなどを侵す系統:
- この系統の白さび病は、カブやハクサイ、コマツナ、タイサイ、キョウナといった作物に感染します。
- ナタネ、カラシナ、ヨウシュナタネ、タカナなどを侵す系統:
- この系統は、ナタネやカラシナ、ヨウシュナタネ、タカナといった作物に特有のものです。
- ダイコンを侵す系統:
- この系統はダイコン専用であり、ダイコンに感染する白さび病の菌は、上記の他の2つの系統の作物には感染しません。
また、キク(菊)に発生する白さび病は、アブラナ科作物を侵す白さび病とは異なる「担子菌類」という分類に属します。キクの白さび病は、葉裏に白色のいぼ状の病斑を生じる特徴があり、栽培キクと野生キクにのみ感染します。
1.白さび病の症状
白さび病の症状には、以下の特徴があります。
- 初期症状: 葉の表面や裏側に黄色の斑点が現れる。この斑点は乳白色のぷっくりした斑点に変わり、次々と周囲に拡がっていく。
- 病斑の形成: 葉裏には円形で灰白色から淡黄色の小さないぼ状の病斑が多数形成される。病斑のいぼが破れると白い粉(胞子)が出てくる。この病斑の反対側(葉の表側)は淡黄色から淡褐色に変色する。
- 進行症状: 症状が進むと葉は萎縮・変形する可能性がある。初めは葉の裏面に不整型の小斑点が生じ、後に表皮が破れて白い粉状物(病原菌の胞子のう)が露出して飛び散る。
- 特異的変化: 春に抽苔する際、茎や花柄、花弁などが異常に肥大し、奇形となることも。また、ダイコンの根部の表面には褐色の輪が発生することもあります。
- 病斑の変化: 葉表には淡緑色から淡黄色の小斑が生じ、病斑裏が乳白色に盛り上がる。盛り上がった部分の表皮が破れ、白い粉状の分生子が飛び散ることで、葉裏が真っ白になることも。
以上の特徴から、ポツポツと白色の立体的な斑点を持つ場合、白さび病の可能性が高いと判断できます。
2.白さび病の被害
白さび病にかかった野菜は以下のような被害を受けることが考えられます。
- 葉の被害:
- 初期には、葉の表面や裏側に黄色の斑点が現れます。
- 症状が進行すると、これらの斑点は乳白色のぷっくりとした斑点に変わります。
- さらに進行すると、葉裏に小さないぼ状の病斑が多数形成され、これらの病斑が破れると白い粉状の物(病原菌の胞子)が現れます。
- 病斑の裏側(葉の表側)は淡黄色から淡褐色に変色します。
- 重度の感染では、葉が萎縮したり変形したりします。
- 茎や花の被害:
- 茎や花柄、花弁にも症状が現れることがあります。
- 特に春に花が咲く際、これらの部分が異常に肥大して奇形化することがあります。
- 苗の被害:
- 白さび病に感染した小苗は、成長が阻害され、最悪の場合、枯死します。
- 根の被害:
- 特定の野菜(例:ダイコン)の場合、根部の表面に褐色の輪紋が出現することがあります。
- 収穫量の減少:
- 病気の進行によっては、野菜の生育が阻害され、結果として収穫量が減少します。
- 品質の低下:
- 見た目の悪さだけでなく、病気による変質が食味や保存性を損なうことがあります。
これらの被害は、白さび病の進行度合いや、感染した野菜の種類、栽培環境などによって異なる場合があります。早期発見と適切な対策が被害を最小限に抑えるための鍵となります。
3.被害作物
下記のようにアブラナ科を中心に病気になる可能性があります。
蕪(カブ)、小松菜(コマツナ)、大根(ダイコン)、二十日大根(ラディッシュ)、青梗菜(チンゲンサイ)、白菜(ハクサイ)等。
4.白さび病の予防・防除法
予防法
- 前作の残渣の処理:白さび病は越冬や越夏を生きた植物上で行うため、前作の植物体の残渣は圃場外で処理する。
- 連作の回避:白さび病を引き起こす病原菌が好むアブラナ科植物の連作を控え、異なる系統の野菜を輪作する。
- 施肥の見直し:窒素の過剰摂取は発病を促進するので、施肥は適切に実施。土壌分析を行って施肥量を確認する。
- 水はけの良い圃場の作成:湿度が高いと発病しやすくなるので、排水性の良い土壌の確保と土質改善を目指す。
- 風通しの改善:過繁茂を防ぎ、湿度を低く保つため、風通しを良くする。
- 灌水方法の見直し:水の跳ね上がりでの伝染を避けるため、雨よけとしてビニールトンネルやポリマルチを使用。
防除法
- 被害の早期発見:発病を早期に認識し、速やかに薬剤を散布。
- 罹病残渣の除去:発病した植物や被害残さは速やかに取り除き、圃場外で処理。
- 摘葉:白さび病に感染した葉は、被害が拡大する前に除去し、畑の外で処分。
- 抵抗性品種の利用:白さび病に抵抗性がある品種の野菜を利用する。
- 適正な肥料供給:肥料は過不足なく適切に与える。
- 畑やプランターの排水性向上:水はけを良くすることで、発病のリスクを低減。
- 過繁茂の回避:日光不足や風通しの悪化を防ぐため、過繁茂を避ける。
- 連作・輪作の注意:連作や輪作を避けることで、発病のリスクを低減。
- 収穫後の処理:収穫後の土中の株は病原菌の越冬場所となるため、必ず除去する。
最後に
植物の病気で多いのがカビ菌によるものです。その菌の種類によって、似たような病名が複数存在します。今回紹介した「白かび病」もその一つです。野菜は発生した病気をしっかり把握して適切に対処していきましょう。