土作り

カキ殻の秘密:有機石灰として成分、効果、そして使い方を詳細解説

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カキ殻というと、料理の際の残り物としてしか思い浮かべない方も多いかと思いますが、実はこれが素晴らしい有機石灰としての側面を持っています。カキ殻の成分やその持つ効果、そしてその正しい使い方はどうなのでしょうか。多くの植物が酸性土壌を避ける中、酸度の調整を助ける石灰成分が豊富に含まれているカキ殻。さらに、海からの贈り物としてのカキ殻は、ミネラルたっぷりの天然の石灰として私たちの菜園に役立ってくれます。今回の記事では、カキ殻の魅力をたっぷりとお伝えしながら、効果的な使用方法を詳しく解説していきます。

有機石灰とは?

有機石灰は、有機質の石灰を指し、その代表的なものとして「カキ殻」があります。カキ殻は、カキの殻の塩を取り除いて乾燥、粉砕したもので、土壌の酸度を中和させる役割やカルシウムの補給を行います。また、カキ殻は多孔質の構造をしており、微生物の住みかとしても機能します。

日本の土壌は酸性に傾きがちで、酸性の土壌では植物が肥料成分を吸収しにくく、微生物の生息も難しい環境となります。そのため、カキ殻のようなアルカリ性の有機石灰を用いて土壌の酸度を調整することが推奨されています。

有機石灰の特徴として、じわじわと効果が長く続く点が挙げられます。特にカキ殻石灰は、適切な量を施すことで、効果が過度に強くなる心配が少ないです。さらに、カキ殻には鉄やホウ素といった微量要素や、少量の窒素やリン酸を含んでいます。

有機石灰の利点として、化学的な肥料焼けのリスクが低く、効果が長く続く点が挙げられます。市販の無機石灰と異なり、効果が出るのはゆっくりとしており、植物にとってもやさしい効果が期待できます。

有機石灰の成分

主な成分としては、炭酸カルシウムが90%前後を占めており、この成分は化学的に安定しています。土が酸性に傾いている場合には少量溶け出し、酸度を中和する役割を果たしますが、中性の土壌ではほとんど溶け出さない性質を持っています。加えて、水酸化マグネシウムが少量含まれていることがあり、脱塩処理が不十分な製品では塩分(塩化ナトリウム)が含まれる場合がある。

有機石灰のアルカリ成分は比較的低く、他の石灰類と比べて酸度を中和する効果も穏やかであり、カルシウムの含有量も少なめです。しかし、植物に必要な三大要素である窒素、リン酸、カリウムがやや多く、さらにマンガン、ホウ素、亜鉛といった微量要素やミネラルも豊富に含まれています。

他の石灰との違い

有機石灰は他の石灰資材といくつかの特徴的な違いがあります。まず、有機石灰は土に混ぜた直後にも植物を植えることができる利点があります。しかし、土の酸度やアルカリ度を矯正する効果はやや弱めです。それでも、土壌中の微生物を死滅させることなく、その効果はじわじわと効いて長く続く特性があります。また、ホタテの貝殻を原料とすると、アルカリ分が特に高くなることも特徴です。

一方、苦土石灰には植物が必要とするマグネシウムという微量要素が含まれています。そして、消石灰や生石灰は強アルカリ性を持ち、消毒にも用いられる特性があります。特に、生石灰は水との反応により、熱を発生させる性質を持っており、その過程で消石灰に変わります。

3種類の石灰のまとめ記事はこちら

家庭菜園初心者必見!苦土石灰、消石灰、有機石灰の違いと最適な使い方

有機石灰の使い方

有機石灰、特にカキ殻由来のものは遅効性を持っています。これは元肥として使うのに適しており、植え付けの1週間前から当日にかけて土に混ぜ込むことができます。加えて、この石灰は他の有機肥料や化学肥料、さらには植物活性材との組み合わせも可能です。

カルシウムを豊富に必要とする植物、例えばナス科のトマトやアブラナ科のコマツナとの相性が良いとされています。使用する際の量は10アールあたり200kg以下とされており、その遅効性を考慮して毎年の施用を避け、使いすぎに注意が必要です。

一般的な使い方として、まず土壌の酸度を市販の測定器や試験紙で確認します。これにより、栽培する植物の好むpHに合わせて適量を調整します。具体的な使用量は製品により異なるため、パッケージに記載された目安を参考にすることが大切です。例えば、アルカリ分35%の製品の場合、一般の土(pH5.5~6)では3.3m^2あたり500~700g、酸性の土(pH4.5以下)では800~900gが目安となります。

さらに、有機石灰は堆肥や元肥と一緒に使用することができ、これにより作業を一回で終えることができます。特に微量要素が不足している畑や有機農法を実践したい場合に適しています。初期段階では、効果がすぐに現れないため、苦土石灰と併用することが推奨されています。しかし、継続的に使用することで、前回の施用の効果が徐々に現れ、やがてはカキ殻石灰だけでの使用も可能となります。

有機石灰のデメリット

有機石灰の主なデメリットは、他の石灰類に比べて必要な使用量が多いことです。この原因として、有機石灰のアルカリ分が35%と低いため、例えば消石灰(60~75%のアルカリ分を持つ)と比べると、同じ土壌の酸度を矯正するためには、面積当たりの使用量が最大で約2倍となることが挙げられます。家庭の菜園においては、この増量はそれほど問題とはなりませんが、農業の規模での運用を考慮すると、資材コストや作業量の増加という面で不利になる可能性があります。

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ムギ
ムギ
兼業農業ビジネスマン
実家の畑を使って兼業農家を始めた30代の会社員です。
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