ヘビイチゴの秘密:気になる名前の由来や食べられるのか、見た目の特徴や栽培方法まで解説
皆さんは「ヘビイチゴ」という名前を聞いたことがありますか?その愛らしい見た目からは想像もつかない「蛇」という言葉が含まれているこのユニークな名前。一体どこから来ているのでしょうか?今回は、そんなヘビイチゴについてご紹介します。
ヘビイチゴとは?
ヘビイチゴ(蛇苺)はバラ科キジムシロ属に分類される多年草で、日本全国どこでも見られる植物です。英語では「false strawberry」と呼ばれています。
ヘビイチゴの特徴
ヘビイチゴは草丈5cm〜10cm程度に成長し、春の4月から6月にかけて黄色い可愛らしい花を咲かせます。この花は直径1.5cm程度で5弁花、花弁の先端は凹んでいます。葉は3出複葉でクローバーのような形をしており、黄緑色、両面に毛が生えています。花期が終わると、径1cm〜1.2cmの赤い球形の実をつけ、この実の表面には痩果が付き、表面に細毛がまばらに生えます。ただし、果肉の部分は淡いピンク色で中は白く、触るとふかふかとしており、水分は少ないです。ランナーを伸ばして生長し、地面一面を覆うように群生するのが特徴です。
ヘビイチゴの生態
ヘビイチゴは田んぼや川の脇、空き地など、やや湿った場所を好み、野原に自生しています。果実は小さく直径1.5センチ程度で、真っ赤で瑞々しそうに見えますが、実際には水分が少ないです。ヘビイチゴの花や葉はヤブヘビイチゴと似ていますが、大きさで区別が可能です。また、野いちごとの違いもあり、ヘビイチゴの花は黄色いのに対して、野いちごの花は白いです。
ヘビイチゴの花言葉
ヘビイチゴの花言葉は「可憐」で、その愛らしい赤い実から感じる繊細さと魅力を表しています。また、「小悪魔のような魅力」もヘビイチゴの花言葉の一つで、これはその可愛らしさの中に隠された少し気まぐれで魅力的な一面を示しています。ヘビイチゴは7月13日の誕生花でもあり、これらの花言葉はそのユニークな特性をよく表しています。
ヘビイチゴは食べられる?
ヘビイチゴは別名「ドクイチゴ」とも呼ばれますが、実際には毒性はなく、人間が食べても無害です。その名前から有毒と誤解されがちですが、この植物を食べることによる健康リスクはありません。ただし、ヘビイチゴの実自体は味がほとんどなく、ボソボソとした食感であまり美味しくないため、食用として一般的ではありません。もし食べるならば、砂糖を加えてジャムにすると良いでしょう。
食べるならジャムにするのがオススメ
ヘビイチゴを食べるならば、ジャムに加工するのが一番のおすすめです。ヘビイチゴ自体には味がほとんどないため、砂糖やレモン汁を加えて煮詰めることで、より美味しく食べられるようになります。ただし、ヘビイチゴから作ったジャムが必ずしも美味しいわけではないため、好みによります。作り方はシンプルで、ヘビイチゴを水洗いして煮詰め、適宜砂糖やレモン汁を加えて味を調整します。完成したジャムは消毒した瓶に保存し、冷蔵庫で保管すると良いでしょう。
ヘビイチゴの名前の由来
ヘビイチゴの名前の由来について、いろいろな説があるようですので、それぞれ解説します。
1. 漢方・生薬からの影響
実は、「ヘビイチゴ」の名前は漢方や生薬で使われている「蛇苺」(じゃも)という言葉から来ているという説があります。日本に伝わる際に、その読み方が変化し、「ヘビイチゴ」となったと言われています。
2. 蛇が好む環境で育つ
ヘビイチゴがよく見られる湿地帯や日陰のエリアは、実は蛇も好む生息環境と非常に似ています。このため、自然と「ヘビイチゴ」という名前がついたのではないかと考えられています。
3. 蛇を引き寄せる?
また、ヘビイチゴを食べに来る小動物を狙う蛇が周辺に潜んでいることが多いため、その関連で「ヘビイチゴ」と呼ばれるようになったという面白い説もあります。
4. 地を這う生育様式
ヘビイチゴの株が地を這うように広がっていく様子は、まるで蛇が這い進むよう。この生育形態が名前の由来になったとも言われています。
面白いことに、蛇は実際にはヘビイチゴを食べません。蛇は基本的に肉食であり、果物や野菜を食べる習性はありません。ですので、名前に「ヘビ」が入っているからといって、ヘビイチゴが蛇のエサになるわけではないんですね。
ヘビイチゴの栽培について
ヘビイチゴは雑草の一種であるため、栽培は非常に簡単です。苗を庭に植える際には、3月から4月が適期であり、日当たりの良い場所を好みますが、夏の暑さには弱いので注意が必要です。この時期に明るい日陰に移動させると良いでしょう。また、鉢植えの場合には2年に1回の植え替えが推奨されており、乾燥した場合には水やりを行う必要があります。一方で、庭植えの場合は降雨だけで十分育つことが多く、手間はほとんどかかりません。ただし、土が乾燥しがちであれば水やりをすると良いでしょう。なお、ヘビイチゴは肥料を与えなくても育つため、肥料を気にする必要はありません。
ヘビイチゴの食べる以外の活用方法
お酒に漬けて塗り薬に
ヘビイチゴはその薬効で知られており、虫刺されに効果的であるとされています。これは、かゆみを抑える効果が期待できるためです。また、擦り傷、切り傷、やけど、あせも、肌荒れといった様々な肌トラブルに対しても良いとされており、患部に直接ヘビイチゴを塗ることでその効果を発揮すると言われています。ただし、果実を食べてもこのような効果は得られないので注意が必要です。
ヘビイチゴは民間療法としても利用されており、「焼酎漬けにしたヘビイチゴを肌に塗ると良い」という使い方があります。これもかゆみや肌荒れに効果があると言われていますが、絶対に飲用しないよう注意が必要です。
お庭を彩るグランドカバーに
さらに、ヘビイチゴはその地面を這うような生長特性を活かして、グランドカバーとして利用することも可能です。これは庭を覆う草のことを指し、一般には踏まれるのに強い植物が用いられます。ヘビイチゴは丈夫で広がりやすいため、グランドカバーに最適であり、冬には地上部の葉を落として越冬し、春から秋にかけては明るいグリーンの葉で地面を覆います。さらに、その中には愛らしい黄色い花や赤い果実が点在し、見ているだけで楽しい気分になれるグランドカバーを作り出すことができます。
最後に
いかがだったでしょうか。ヘビイチゴの名前に隠された小さな謎。色々な説があるからこそ、より一層興味を引く植物と言えますね。今回調べてみて、とても愛着が湧いたので、来春は野生のヘビイチゴをお庭に植えてみようと思います。