野菜の育て方

ペパーミントの育て方完全ガイド:種まきから苗の植え方、栽培のコツまで詳しく解説!

ペパーミント1
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ペパーミントは、600種以上が存在するミントの中でも特に人気が高く、そのさわやかな香りは私たちの日常生活の様々な場面で楽しまれています。お菓子や料理、さらには歯磨き粉やガムに至るまで、その用途は非常に幅広いです。その魅力的な香りと、丈夫な性質から、家庭菜園初心者の方にも大変親しまれています。

しかし、その生命力の強さから、正しい栽培方法や注意点が知られていると、さらに楽しみ方が広がります。この記事では、ペパーミントの種まきから苗の植え方、そして栽培の際のコツまでを徹底的に解説します。

ペパーミントとは?

ペパーミントは、シソ科ハッカ属の多年草であり、地中海が原産地です。ハッカの仲間で、清涼感が強いメントールの香りがする植物として知られ、西洋ハッカとも呼ばれます。同じ属にスペアミントという種も存在しますが、ペパーミントはそれよりもメントールの量が多いため、よりスースーとした感覚が楽しめます。

ミントの基礎情報

ミントについて、こちらを参考にしてみてください。

栽培の難易度★1(ミントは生命力が強く、初心者でも簡単に育てることができます。)
科名シソ科
原産地地中海沿岸
草丈20cm~120cm(種類による)
連作障害なし。ミントは強健な植物で、連作障害の心配はありません。
適した栽培環境よく排水され、日当たりの良い場所。
日当たり日当たりが良い場所が最適ですが、半日ほど日光が当たる場所でも育てることができます。
土壌酸度pH 6.0〜7.0(酸性から中性)
株間30cm~45cm
畝幅40cm~60cm
畝高10cm~15cm
発芽適温15°C~21°C
生育適温18°C~27°C
種まき時期春(4月 – 5月)、または秋(9月 – 10月)
発芽日数7日~14日
苗植え付け時期種まきから約2週間~3週間後。
収穫時期植え付けから約30日後から収穫可能で、真冬以外は1年を通じて収穫できます。
コンパニオンプランツに
向いている野菜
キャベツ、トマト、ピーマンなど。ミントの強い香りが、これらの野菜の害虫を遠ざけます。

ペパーミントの特徴

ペパーミントは、そのさわやかな香りと清涼感を持つメントール臭が特徴的で、その量は50%から60%も含まれています。生命力が非常に強く、繁殖力も高いため、地植えにする際には植える場所の選定が必要です。この植物は、病害虫に強く、初心者でも容易に栽培することができます。多用途な香りは、アロマテラピーからガム、お菓子、ハーブティー、歯磨き粉など多岐にわたり使用されています。また、ハーブとしての効能も多く、消化不良や腹痛の緩和などの効果が知られており、古くから香料や風味づけ、薬としての用途がありました。

ペパーミントの名前の由来

ペパーミントの和名、「コショウハッカ」は、コショウを意味する英語の「ペッパー」と、ハッカを示す「ミント」を組み合わせたものから、ペパーミントという名前が生まれました。この名前は、メントールのさわやかな香りの特性を的確に表しており、非常に適切な名称と言えます。

ペパーミントの種の大きさ

一般的な野菜の種に比べて、ミント類の種は小さいです。下記は、ほうれん草の種と比較した写真になります。

ほうれんそうの種とペパーミントの種比較1

※赤色の種:ほうれんそう、黒色の種:ペパーミント

ペパーミントの栽培で注意すべき病害虫

ペパーミントを栽培する際には、特定の病害虫に注意が必要です。アブラムシは、葉や茎に寄生して栄養を吸収する害虫で、特に若い株に対しての発生が多いため、苗の状態をしっかりと管理することが大切です。発見した際には、人に害がない殺虫剤で駆除するとよいでしょう。また、梅雨時期にはナメクジが発生しやすく、新芽を食べることがあります。ナメクジは容易に発見できるため、割り箸などで捕獲するか、ビールを容器に入れて近くに置くことで、予防することができます。

乾燥時期にはハダニの発生が見られることがあり、初夏や秋にはアオムシによる食害のリスクも考えられます。これらの被害を最小限に抑えるためには、定期的に葉のチェックを行い、早期発見・対処することが大切です。また、梅雨や真夏前の剪定により、通気性を良くすることで病気の予防も図ることができます。

ペパーミントの栽培方法

栽培場所について

ペパーミントは日光を好む植物として知られており、健やかに育てるためには、日当たりの良い場所での栽培が推奨されます。具体的には、地植えを行う場合、庭での栽培を選ぶ際には木の陰や建物の影となる場所を避け、日照時間の長いエリアを選んで植えると、ペパーミントの成長が促進されます。

また、日当たりだけでなく、風通しの良い場所がペパーミントの成長には有利です。しかし、日光過多はペパーミントの葉の色や香りに悪影響を及ぼす可能性があるため、真夏の強い日差しの下では半日陰を選ぶと良いでしょう。

鉢植えの場合、日光が強すぎると土の乾燥が進行し、水切れのリスクが高まるので、特に夏季は半日陰の場所への移動が推奨されます。庭でも鉢でも、ペパーミントは湿り気を持った肥沃な土を好む性質がありますので、この点も考慮しながら最適な場所を選びましょう。

種まき

まず、育苗箱や育苗ポットに赤玉土(小粒)やパーライトを使用してください。次に、種が重ならないように上にまき、その後、薄く土をかぶせます。種が流れ出さないように霧吹きを使用して土を湿らせることが大切です。土の乾燥を避けるため、適切な水やりを続けます。10~15日後に発芽が確認できたら、成長が遅い芽は間引きを行い、本葉が4~5枚育った段階で鉢や地面に移植します。この段階でペパーミントの苗はしっかりと育っていますので、引き続きの栽培に期待が持てます。

土作り

ペパーミントは、保水性が高く肥えた土での育成が適しています。例として、市販の野菜用培養土や、赤玉土小粒と腐葉土を1:1で混ぜたものが挙げられます。特に、ペパーミントは乾燥にやや弱いため、保水性の高い土の利用が推奨されます。鉢植えにおいては、市販のハーブ用培養土や、赤玉土(小粒)5:腐葉土3:バーミキュライト2の割合でブレンドした土がおすすめです。

一方、地植えの場合には、植え付け前に適切な土壌の下準備が必要です。具体的には、植え付けの2週間前に1㎡あたり苦土石灰を100g混ぜてよく耕し、1週間前には1㎡あたり堆肥2Kgと化成肥料100gを全面に撒き入れて再び耕します。

最後に、植え付け直前には幅70cm〜80cmの畝を形成します。土作りの際の注意点として、種まき後の水やりは、霧吹きを使用して土を湿らせることで、種が流れるのを防ぎましょう。

苗植え

ペパーミントの苗植えには3~6月や4~10月が適しています。このハーブは繁殖力が非常に旺盛で、他の品種や植物と簡単に交雑することがあるため、近隣に異なるミントや植物を植えないよう注意が必要です。

鉢植えの場合、ペパーミントの苗よりも1サイズ大きい鉢を選びます。その理由は、ペパーミントの根が急速に成長するため、適切なスペースを確保することと、鉢土の乾燥を避けるためです。ただし、ペパーミントは他の植物を圧倒するため、寄せ植えには向きません。鉢植えでは、鉢が根で埋まりやすいので、約1年ごとに株を更新して植え替えることを推奨します。

地植えの場合、日当たりと風通しが良い場所を選び、植え付ける1週間前には土をきちんと耕します。苗を植える際、株間に20~30cm程度のスペースを取ることが大切です。ペパーミントはランナー(地下茎)が伸びやすく、他の植物を圧倒する性質があるため、根が広がりすぎないよう、周囲に障壁として板やブロックで囲むと良いです。また、ランナーの拡散を制御するため、1~2年に一度、株分けと植え替えを行い、伸びすぎたランナーや余分な株を整理します。

植える際のコツとして、ペパーミントは根を広範囲に広げる傾向があるので、その特性を意識して植えることが重要です。茎が約5cmほど伸びたペパーミントが最も苗植えに適しています。

ペパーミントの栽培管理(水やり・肥料・剪定・植え替え)

水やり

ペパーミントは乾燥を嫌い、湿り気を持った土を好む植物です。そのため、土が適切に湿っていることが、健やかに成長するための鍵となります。

鉢植えのペパーミントに関しては、土の表面が乾燥した際には、鉢の底から水が流れ出るくらいたっぷりと水をあげることが必要です。特に夏場は乾燥しやすくなるため、朝と夕方の涼しい時間帯に水やりを心掛けると良いでしょう。土が過度に乾燥すると、ペパーミントの葉が落ちたり、株が弱ってしまいます。また、過度な乾燥を避けるためには、鉢土に腐葉土を混ぜるなどして、乾燥の進行を緩和させる方法も有効です。

一方、地植えに関しては、一度しっかりと水やりをした後、基本的には追加の水やりの必要はほとんどありません。しかし、雨が降らない期間が続いたり、特に猛暑期に土が乾燥してしまう場合は、水やりを追加してあげることが必要になることもあります。

肥料・追肥

ペパーミントはその生命力から、特別多くの肥料を必要としない植物であります。しかし、肥料を適切に管理することで、さらに元気な生育を促進することができます。

植え付けの際には、効果が長く続く緩効性化成肥料を土に混ぜ入れておくのが推奨されます。その後、生育期間である3月から9月の間、この緩効性の肥料を2〜3ヶ月ごとに1回施すことで、持続的な栄養供給が可能となります。また、開花後や収穫後などのタイミングでの追肥も、ペパーミントの健康な成長をサポートします。

庭植え、鉢植えともに、初めに緩効性化成肥料を土に混ぜることが基本となります。そして、ペパーミントを切り戻したり、収穫した後には、水やりの代わりとして薄めた液体肥料を追加することで、持続的な栄養供給を行います。

剪定

ペパーミントは生育が旺盛なハーブで、栽培中に株が混雑したり、乱れることがしばしばあります。特に春に植えたペパーミントは、夏に近づくと株元が蒸れやすくなるため、梅雨の始まり前に剪定を行うと、風通しを改善して健康的な成長を支えることができます。具体的な剪定方法としては、茎を半分以下に切り戻すことが推奨されます。この大胆な剪定に対して不安を感じる方もいるかもしれませんが、ペパーミントは再びしっかりと成長してくるので、思い切って行っても問題ありません。ただし、ペパーミントの花を楽しみたい場合は剪定を避けるべきで、花が咲くのを阻害してしまう可能性があるため注意が必要です。

さらに、ペパーミントは株元からランナーを伸ばすことがあり、これによりペパーミントが急速に増える性質があります。特に鉢植えでの栽培の際は、ランナーが鉢の外に伸びて土に根付いてしまうと、増え続けるため、ランナーを鉢内に誘導するか、剪定して取り除くことが必要です。その他、剪定の際には、傷んだ枝や不要な枝も同時に取り除くと良いでしょう。夏の高温期に入る前や春から夏にかけての葉の勢いが増す時期には、適度な剪定で風通しを良くすることが望ましいです。

植え替え

ペパーミントは根の伸びが旺盛で、短期間で鉢やプランターを根で埋め尽くしてしまいます。そのため、鉢に植えている場合は、毎年3~6月や9~10月のいずれかの期間に、少なくとも1回り大きな鉢へと植え替えることが推奨されます。プランターでの栽培の際には、この植え替えを機に株を分けることも一つの選択肢となります。

植え替えを行う際の手順は、新たに植え付けるときの方法と変わりません。ただし、植え替える際には、掘り上げた根から傷んだ部分や過度に伸びた根を適切に切り取ることが重要です。

収穫

ペパーミントは生命力が非常に強く、5月から9月にかけて特に大きく成長します。この期間は収穫が特に多くなるため、日常的に収穫しても新たに次々と生えてきます。そのため、収穫は一年中いつでも可能で、枯れることが少ないので好きなタイミングで収穫を行って問題ありません。特に草丈が15~20cmになった際には、新芽を摘むことで茎の成長を促進することができ、その結果、枝が増えて収穫量も増える効果があります。さらに成長して草丈が約30cmに達した場合、株元から10~15cm上の位置で茎を切り、その部分を収穫します。収穫した葉や茎はそのままの状態で利用することも、風通しの良い場所で乾燥させて保存することも可能です。それぞれの使用方法に応じて、適切な収穫方法を選んで楽しんでください。

保存の仕方

ペパーミントは収穫後の新鮮な状態を保つために、すぐに利用するのが最も良い方法です。しおれる前に使用しきれない場合は、工夫して保存することが求められます。冷蔵庫での保存は、そのままの新鮮さを長期間維持する助けとなりますが、冷凍庫を利用する場合は注意が必要です。冷凍すると、ペパーミントの香りが失われることがあるため、香りを最大限に楽しむための用途では避けるべきです。

収穫した新鮮な葉は様々な方法で楽しむことができます。例えば、お茶に加えるとミントティーとして、また水に浸すことで爽やかなミント水として味わうことができます。さらに、オイルに漬け込むことでアロマオイルとしても活用でき、長期間香りを楽しむことが可能です。

ミントの増やし方

ミントは、株分けや挿し木などでどんどん増やしていくことが出来ます。詳しくはこちらの記事をチェック!

ミント栽培のプロになろう:水挿し・株分け・挿し木の3つの方法で簡単増殖ガイド!

ペパーミントの栽培の注意点

ペパーミントはその繁殖力から非常に育てやすいハーブとして知られています。初心者の方でも気軽に栽培できる一方で、その生命力の強さが逆にトラブルを引き起こすこともあります。ペパーミントの勢いはとても強く、そのため地植えの場合には、ペパーミントが他の植物に影響を与えたり、過度に拡大してしまうリスクが考えられます。そのため、鉢植えでの栽培がおすすめです。もし地植えを選ぶ場合は、ペパーミントの根が広がらないように対策として、地中にブロックや板で囲うことが大切です。

また、ペパーミントは他の植物との寄せ植えが難しく、特にミント類との近接栽培は避けるべきです。その理由は、ペパーミントが他の植物を枯らしてしまう可能性があるためと、異なるミント類同士が簡単に交雑してしまうからです。

さらに、ペパーミントの香りを最大限に楽しみたい場合、肥料の使用には慎重さが求められます。肥料の過剰な投与は、ペパーミントの香りを弱めてしまうリスクがあるため、適切な量とタイミングでの肥料の提供が必要です。ペパーミントは、肥料を与えなくても良好な日当たりや水やりの管理により、活発に成長しますので、肥料の適正な使用に心がけることが大切です。

最後に

ペパーミントは種から育てるのに時間がかかるため、より簡単に早く育つ苗からの栽培をオススメします。スッキリとした香りをお楽しみください。

ABOUT ME
ムギ
ムギ
兼業農業ビジネスマン
実家の畑を使って兼業農家を始めた30代の会社員です。
野菜の育て方や、週1の農作業についての投稿をしています。
野菜を作る楽しみを届けられるように頑張ります。
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